電子部品の世界出荷額が増加、新型「iPhone」向け出荷開始の影響は?
中国向けは調整続く
電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた日本メーカーによる7月の電子部品世界出荷額は、前年同月比3%増の3706億円だった。円安などを背景に3カ月連続で前年実績を上回った。ただ最大市場である中国向けの出荷は調整が続いている。上海市のロックダウン(都市封鎖)解除後も需要の回復が道半ばとみられ、先行きは不透明だ。
電気の流れを絞って電流や電圧を調整し、スマートフォンや自動車など向け電子回路が適正に動くのを助ける抵抗器は同11%増の174億円、スマホ内蔵カメラなどのピント調節に必要なアクチュエーターは同23%増の327億円だった。
最大の要因は為替レートの変動。7月は平均で1ドル=136円超と、前年より25%近く円安が進んだ。ドル建てで取引される電子部品の場合、円安は輸出額を実態以上に押し上げる一因となる。円ベースの輸出額をドルに換算すると、抵抗器は前年より11%、アクチュエーターは同4%それぞれ減少した。
米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」の新型向けの部品出荷が始まったものの、全体を力強く押し上げるまでには至っていない。
中国商社向けなどの出荷調整も続いている。同国向けの出荷額は1386億円で、前年とほぼ同額だった。中華系スマホメーカー向けの受注が回復せず、自動車向けも勢いに欠けるもようだ。
日刊工業新聞2022年10月3日