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「機械遺産」に認定された3つの機械の中身

「機械遺産」に認定された3つの機械の中身

平面研削盤 PSG―6B

日本機械学会は機械技術の発展に寄与した製品や施設などを認定する2022年度の「機械遺産」に、岡本工作機械製作所の「平面研削盤 PSG―6B」など3件の認定を決めた。今回で16回目で、認定件数は累計116件となった。「機械の日」の8月7日に早稲田大学で開催予定の記念イベントで認定式を行う。

【平面研削盤 PSG―6B】

1953年に製作したPSG―6B型の1号機。テーブル駆動装置に自社開発の油圧ポンプと油圧シリンダーを採用。砥石(といし)軸を4個の超精密ボールベアリングで支え、0・001ミリメートルの砥石軸の送りを可能にした。テーブルの油圧駆動という現在の平面研削盤の基本構造を採り入れた最初の機械。高度経済成長期の機械工業の発展を、確かな精度で支えた。

【木材プレカットシステム MPS―1】

宮川工機が1985年に製造したプレカットCAD/CAMシステムの加工機械部分。木造住宅の軸組み工法において、現場で大工職人が部材を加工するのではなく、事前に工場で加工して現場に搬入し組み立てる方式に転換させた。現在、軸組み工法の93%がプレカット工法で、その端緒となる機械。

【手回しガラ紡機】

日本の外貨獲得に大きく貢献した紡績産業の黎明(れいめい)期における象徴的国産機械。その運転音から「ガラ紡機」と呼ばれた。臥雲辰致が高価な外国製に代わる単純な機構の手回し紡績機を発明。1877年に東京・上野で開かれた第1回内国勧業博覧会に出品し高評価を得た。本機は1880年代に製造されたもので、綿業会館(大阪市中央区)に保存展示されている。

日刊工業新聞2022年7月29日

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