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日本の一眼レフカメラを世界水準へと進展させた「機械遺産」

日本機械学会は機械技術の発展に寄与した製品や施設などを認定する2020年度の「機械遺産」に「自由粉砕機第1号機(奈良式高速衝撃粉砕機)」など5件を選んだ。機械遺産は今年で14回目で、合計104件となった。認定式は実施せず、「機械の日」の8月7日に認定証を郵送で贈呈。機械遺産所有者のコメントを同日に動画配信する。

日本の一眼レフカメラを世界水準へと進展させたアサヒフレックスI・IIB、ミランダT、ズノー、ニコンF=日本カメラ博物館は主要な国産カメラを系統的に収蔵している。その中で1950年代の5機種は利便性や堅牢(けんろう)性に優れ、「カメラといえばドイツ」という評価を逆転させた。

工部大学校の「機械学」教育機器およびC.D.ウエスト関係資料群=明治初期の系統立った近代技術導入の努力を今に伝える。東京駅隣接のKITTE「インターメディアテク」では東京大学所蔵の教育機材を展示。同大学工学・情報理工学図書館は当時機械学の教べんを執ったC.D.ウエストの講義ノートなどを保存している。

自由粉砕機第1号機(奈良式高速衝撃粉砕機)=奈良商店(現奈良機械製作所)が1927年に商用化。技術は現在の粉砕機にも踏襲され、食品、薬品から鉱工業用品まで幅広い分野で粉体加工機として使われている。社会生活に不可欠な「製粉」における革新技術の粉砕機として歴史的価値が高い。

日本の溶射技術を工業化したアーク溶射ガン=1955年に新興メタリコン(現シンコーメタリコン)で製造された現存最古の溶射ガン1台と、1963年に溶射材を送るエアタービンの駆動機構に改良を加えた溶射ガン2台。現在は同社に保存・展示。幅広い産業分野で利用される溶射技術の原点を示すものである。

機械式無段変速機/リングコーンRC型=1952年にシンポ工業(現日本電産シンポ)が開発。部品点数が少なく簡単な構造で、比較的小型で所要伝達動力が得られる。非接触で動力を伝達するトラクションドライブの技術は車輪駆動用トラクションドライブ減速機やRX型無段変速機に継承されている。

日刊工業新聞2020年7月31日

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