日産「エクストレイル」9年ぶり全面改良、その性能は?

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9年ぶりに全面改良されたエクストレイルとアシュワニ・グプタ最高執行責任者㊧、星野朝子副社長

日産自動車は中型スポーツ多目的車(SUV)「エクストレイル」を約9年ぶりに全面改良し、25日に発売すると発表した。独自技術「eパワー」を初搭載し、ハイブリッド車(HV)専用車とした。新型エンジンの採用などで力強さと静かさを両立し、走りの質を高めた。同車は兄弟車を含めた世界戦略車で、各国で異なる環境需要に技術で対応する。販売を拡大し、成長をけん引できるか注目される。(西沢亮)

「日産にしかできない新しいパワートレーンを世界に先駆け初採用する」。日産のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は、同日の新車発表会で電動車戦略をリードする重要なモデルとして期待を示した。

日産は排気量1500ccのVCR(可変圧縮比)エンジンを開発。エンジンを発電のみに使いモーターで駆動するeパワー向けに同エンジンを改良して過給器を追加し、新型エクストレイルに搭載した。独自機構で圧縮比を8―14に可変でき、排気量1500―2800cc相当のエンジン性能を補う。

例えば時速50キロメートル前後の常用域では高い圧縮比で燃費を優先し、加速時は低圧縮比でトルクを高めて走行。状況に応じてエンジン回転数を最適化し、高い静粛性と加速性能を両立した。

前後のモーターとブレーキを統合制御する4輪駆動技術「eフォース」も搭載。荒れた道だけでなく舗装された雪深い道でも安定した走行を実現した。

車台も刷新し、日産と連合を組む仏ルノーや三菱自動車と開発した共通車台「CMF―C」を採用した。三菱自の主力SUV「アウトランダー」とは車台以外にモーターなども共用。量産効果も取り込み、消費税込みの価格を319万8800円からに抑えた。

「eパワー」車、欧投入の道拓く

国内ではSUV人気が拡大。中型車ではトヨタ自動車の「RAV4」やホンダの「CR―V」など、HVでも競合がひしめく。新型エクストレイルで2021年に約1万2000台だった販売台数の巻き返しを図る。

エクストレイルは兄弟車として欧州で「キャシュカイ」、北米で「ローグ」を展開し、最量販車として人気を集める。キャシュカイではエクストレイルと同じeパワーを搭載したHV車を9月に供給する。VCRエンジンで圧縮比を下げながら、低い回転域でも高い出力を実現。日本と比べ高速走行が多い欧州では燃費と出力の両立が課題だったが、欧州市場へのeパワー車投入の道を切り開いた。

一方、米国ではガソリン車として同VCRエンジンを搭載したローグを既に発売。各国で異なる排出ガス規制や需要に応じて電動化技術を選び、脱炭素にも柔軟に対応する。

日産は固定費圧縮などで22年3月期に当期損益を3年ぶりに黒字転換した。エクストレイルなど中型SUV群は収益性が高く、投資余力を確保するためにも拡販が重要になる。新型車の売れ行きは回復から成長を占う試金石となりそうだ。


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日刊工業新聞 2022年7月21日

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