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トヨタ・日産・三菱自…ウクライナ情勢深刻化、日系自動車メーカーへの影響は?

トヨタ・日産・三菱自…ウクライナ情勢深刻化、日系自動車メーカーへの影響は?

ウクライナトヨタフェイスブックページより

ロシアのウクライナ侵攻を受け、日系企業が対応を迫られている。トヨタ自動車はウクライナ情勢の深刻化を受け、住友商事を通じて展開する同国全土の販売店で24―25日は営業を停止し、営業再開は未定としている。トヨタは同国では年約2万台の車両を販売している。一方のロシアではサンクトペテルブルクに生産拠点を構えているが、現時点で生産や現地従業員への対応に影響は出ていない。

直接的な影響以上に懸念されるのが欧州経済の冷え込みだ。原油といったエネルギー価格の高騰など、経済への影響は避けられない見通し。トヨタは全社の約1割にあたる100万台規模の車両を欧州で販売しており、今後は販売などに影響が表れる可能性がある。

足元では想定しうる経済制裁により発生するリスクへの備えを進めている。ウクライナ危機がささやかれ始めた頃から取引先の金融機関や商流、調達物資洗い出しなどサプライチェーン(供給網)全体の調査を強化した。

ロシアにシートの生産拠点を置くトヨタ紡織では事業への影響は出ていない。欧州の地域統括会社とともに想定されるリスクの洗い出しを進めている。

日産自動車はサンクトペテルブルクでスポーツ多目的車(SUV)「エクストレイル」や「キャシュカイ」などを生産する。2021年のロシアでの販売実績は約5万台だった。同国での生産は継続している。ロシアとウクライナ両国での販売活動については状況を確認中としている。

ロシアのカルーガ州にある仏グループPSA(現欧州ステランティス)との合弁工場でSUV「アウトランダー」などを生産する三菱自動車。21年の同国での生産実績は約2万台だった。車両生産を継続しており、今後の影響や状況を注視していきたいとしている。

マツダはウラジオストク市にロシア自動車メーカーのソラーズとの合弁会社でSUV「CX―5」などを生産している。日本からも輸出している。21年の販売台数は約3万台。「状況を注視していく」とする。

三菱ふそうトラック・バスは現時点で影響はないという。ロシアでは親会社の独ダイムラートラックと露商用車大手カマズが合弁会社でトラックの組み立てや販売をしている。現地の操業は今のところ通常通りだ。

住友電気工業と子会社の住友電装などは25日からウクライナ西部テルノーピリにある自動車用ワイヤハーネス(組み電線)の工場を停止している。従業員約6000人の安全を優先した。日本人社員は駐在していない。今後の供給については顧客と協議し、顧客に近い他国での代替生産も含め対応を検討する。

フジクラはウクライナ西部リヴィウにある欧州自動車メーカー向けワイヤハーネス工場の操業を24日正午で停止。約1400人いる従業員は帰宅を開始した。同工場に日本人の社員はいない。28日まで操業を停止し、3月以降は状況を見て改めて判断する。代替生産についても顧客との検討を開始した。 

日刊工業新聞2022年2月28日

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