用紙の値上げが止まらない、今度は王子製紙が15%以上引き上げ
王子製紙が印刷・情報用紙の価格を、7月1日出荷分から現行比15%以上引き上げる。原燃料価格は昨年来高水準だったが、2022年に入ってロシアのウクライナ侵攻が石炭などの高騰に拍車をかけている。大手で唯一値上げしていなかった同社の決定で全体的に価格修正が通りやすい環境となるが、同業他社は早くも追加値上げの検討を進めている。
王子製紙が価格を15%以上引き上げるのは、上質紙、塗工紙など印刷用紙、コピー用のPPC用紙やフォーム用紙など情報用紙だ。
製紙大手では日本製紙(22年1月出荷分から)を皮切りに、大王製紙、三菱製紙、北越コーポレーションなどが15%以上の引き上げを実施。これに対し王子製紙は、値上げによる印刷・情報用紙のさらなる需要減への懸念、生産性向上策の奏功などを理由に「市場動向を見ながら検討していく」と慎重だった。
ただ足元はロシア情勢による影響などが大きく、さすがにコスト低減の努力では対応しきれないと判断したとみられる。値上げを表明済みのメーカーもロシア情勢以前の決定とあって、業績へのダメージを見通す。「サーチャージ制での修正を含め、追加値上げを検討していく」(木坂隆一三菱製紙社長)との声が少なくない。
日刊工業新聞 2022年6月2日