【ディープテックを追え】白血病の課題を”オーダーメード”で解決
血液のがん、白血病。かつては治療が難しい病気と言われたが、新薬の登場などもあり、治療できる病になってきた。ただ再発率が高く、治療後も定期的なモニタリングは欠かせない。
東京大学発スタートアップのLiquid Mine(リキッドマイン、東京都港区)は血液だけで白血病をモニタリングできるシステムを開発。これまでより患者の負担が少なく、白血病をモニタリングできる体制構築を急ぐ。
モニタリング検査に課題
白血病は血球を作る細胞である造血幹細胞が骨髄(こつずい)の中でがん化して、増殖する病気だ。近年、抗がん剤を用いた化学療法の進歩により、5年後生存率は向上してきた。ただ、治療が終了した段階でもがん化した細胞が残っていた場合、再発のリスクをはらんでいる。そこで定期的なモニタリング検査によって再発を早期に発見する必要がある。
検査は骨髄液を採取して調べる「骨髄生検」が一般的だ。骨髄の造血幹細胞を調べることで白血病に罹患しているかや、白血病が再発しているかを調べる。同検査は直径4ミリの注射針で骨髄液を採取するため、患者の身体的負荷が高く、検査の継続率が課題だった。また、白血病の原因になる遺伝子変異は数千種類以上あるとされるが、既存の検査薬は頻度の高いものにしか対応していなかった。現在のモニタリング検査の課題を解決するには、患者の負荷を減らしつつ、多くの種類の原因遺伝子を特定できるようにする必要があった。
ゲノムを応用
リキッドマインは、患者のゲノム解析と血液検査を組み合わせて、モニタリング検査の課題解決を目指す。同社の検査ではまず白血病を発症した患者のゲノムを調べる。このゲノムを独自プログラムで解析し、がんの原因になっている遺伝子変異を特定する。
その後、特定した遺伝子変異に反応する試薬を独自に作成。この試薬を使い、患者の血液を調べることで白血病の原因細胞の増減をモニタリングできるようにする。岸本倫和社長は「患者に合わせたオーダーメードの治療で、白血病の再発をモニタリングできる」と説明する。同社によれば96%の患者に向けて同システムを適応できるという。血液検査のみで再発をモニタリングできるため、これまでより患者への負荷が下がり継続率向上につながるとみる。
これから治験を行い、2024年までの保険適用を目指す。保険適用時で、骨髄生検より低価格にしたいとしている。同システムは白血病をターゲットにするが、将来は悪性リンパ腫や骨肉腫にも適応範囲を広げる計画だ。また、協力会社と連携して米国や欧州での医療承認も目指す。
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