理研が研究、“無駄のない作物”キャッサバがSDGsに貢献する!

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キャッサバは挿し木1年後には高さ2メートルにもなる(理研提供)

理化学研究所環境資源科学研究センターの関原明チームリーダーらは、モデル植物のシロイヌナズナを用いたゲノム解析経験を活かし、2005年から熱帯・亜熱帯地域で栽培されるキャッサバを研究している。キャッサバの高い潜在性から国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できると考え、研究を進めている。

キャッサバは根、茎、葉のすべての器官が有効に利用できることから“無駄のない作物”と呼ばれる。特に塊根中で合成されるでんぷんは全世界で5億―10億人の食糧源・エネルギー源となっている。肥料なしでも育ち、食料安全保障や貧困削減、産業利用上、重要な作物として位置付けられている。だが、キャッサバはイネやコムギに比べ、全遺伝情報(ゲノム)解析の基盤整備が遅れていた。

関チームリーダーらは、塊根形成で重要な役割を果たす植物ホルモンの相互作用をタイのマヒドン大学などとの共同研究で20年に明らかにした。研究成果を起点にさらに研究が進展することで、効率的な塊根収量の増産に向けた技術開発が可能になる。環境負荷を低減しながら、十分な収量を維持できる栽培法や植物設計に貢献すると期待される。

また、21年には遺伝子導入によって植物の性質や特徴を改変する技術を用いて、難消化性のでんぷんを豊富に合成できるキャッサバの開発に成功した。疾病リスクなどを低減する機能性食品の素材開発への貢献が期待されている。同技術については、東南アジアにおける実用品種「KU50」向けに世界で初めて開発に成功している。

さらに、「SDGsやカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への取り組みが今後、重要性を増す」(関チームリーダー)とし、キャッサバを用いた持続的な低炭素社会の実現に向けた研究も進めている。

関チームリーダーは「国際共同研究を進める中で東南アジアの人材を受け入れ、育成もでき、やりがいを感じる」としている。

日刊工業新聞 2022年2月22日

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