九州FGが導入した珍しい副業制度とは
九州フィナンシャルグループ(FG)と子会社の肥後銀行(熊本市中央区)、鹿児島銀行(鹿児島市)は、九州地域の金融機関では珍しい副業制度を導入した。九州FGと肥後銀は2021年10月から、鹿児島銀は22年1月からそれぞれ始めた。休日や銀行業務終了後の時間を利用して副業に取り組む従業員が生まれているという。
同制度は第3次グループ中期経営計画の基本戦略「人づくりとエンゲージメント向上」の一環。従業員の多様なキャリアに合わせた働き方を実現するとともに、さまざまなつながりを深めて仕事のやりがいや愛社精神といった関係性を高める。経験豊富な人材を確保することによって、新たな技術革新の創出とグループの成長につなげ、ひいては地域社会の発展に貢献することが目的だ。
同グループは、個人が労働管理を行う個人事業主型を幅広い業種で認めている。ただし、企業のコンサルタント業務など本来の銀行業務と競合しないよう、各銀行の人事・総務部が事前に審査する。
山本誠司九州FG執行役員人事・総務部部長は「ここ数年、金融を取り巻く環境の変化から預金と貸し出し業務中心から非金融分野に注力する必要が出てきた」と導入の背景を説明する。
副業制度導入前の従業員へのアンケートでは、約7割の従業員が「副業をやってみたい」と回答した。これまで報告されている副業は、スポーツインストラクターや観光向けツアーガイド、オリジナルコーヒーブレンド豆の販売、語学資格の面接官など。「男女比は半々、年齢層も幅広い」(人事・総務部)という。
山本執行役員は「全く知らなかった世界を知ることで本業の金融業務にも役に立つ。思いもよらなかった企画や発想が出てくる。副業に取り組む人数はまだまだ少ない。もっと増えてほしい」と期待する。
日刊工業新聞2022年3月15日