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後発薬のサワイグループHDが小林化工のM&Aを回避したワケ

後発薬のサワイグループHDが小林化工のM&Aを回避したワケ

沢井製薬公式サイトより

サワイグループホールディングス(サワイGHD)はジェネリック医薬品(後発薬)の供給能力強化の一環として、小林化工(福井県あわら市)の後発薬製造・物流拠点と設備、人員を今春に取得する。拠点や人員は21年12月に設立した新子会社トラストファーマテック(大阪市淀川区)の所属となる。

国内ジェネリック業界は複数の企業で法令違反を原因とする業務停止処分が相次いだことから、深刻な供給不足が発生。小林化工も処分を受けた1社だ。小林化工の業務停止により年間約30億錠の供給がストップ。業界の供給能力確保のためには早期の稼働再開が求められる状況だった。一方、医薬品という命に関わる製品の特性を考慮すると、信頼回復までは長期間かかるともみられていた。

そこでサワイGHDが提案したのが会社をM&A(合併・買収)するのではなく、生産機能のみの取得だ。沢井光郎会長は「医薬品製造の基準を満たした拠点や設備、医薬品製造経験を持つ人材は業界全体の貴重な財産で、一刻も早く動かせる状況にしたい」と力説。同時に「この財産を生かすためにはマイナスの要素を引き継いではいけない」との考えでM&Aを回避した。

取得した拠点や人員をサワイブランド製品の供給のために活用する。小林化工の会社そのものや承認品目、在庫、販売機能などは引き継がない。法令違反のあった製品の再出荷はないということになる。稼働を続ける後発薬メーカーへの供給要請が高まる中、供給機能を強化しニーズに応える。

主力の沢井製薬の拠点にはせず、別会社としたのは「沢井製薬への要請に左右されず、市場に受け入れられる製品を供給する準備を整える」(沢井会長)ためだ。そのためトラストファーマの工場としての製品出荷開始は1年後の23年4月を予定している。沢井製薬の工場で4月1日付で移籍する社員の研修を行い、サワイGHDの理念に基づいた製品の供給体制を構築する。全体の最適化を踏まえ、M&Aではない外部からの機能強化事例として注目される。

日刊工業新聞2022年3月24日

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