品質問題が発覚したジェネリック医薬品業界。大型施設投資が相次ぐ理由

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新棟を建設する東和薬品山形工場

「品質問題」影響広範囲

ジェネリック医薬品(後発薬)各社が大型設備投資に着手する。2020年度に品質問題が発覚した日医工や小林化工(福井県あわら市)が生産を停止し、供給が滞るなど広範囲に影響が及んでいる。政府の後発薬使用促進策に加え、供給量確保に対応するため、大手・中堅後発薬メーカーは増産体制の構築を進める。(大阪・中野恵美子)

中計投資700億円

後発薬大手のサワイグループホールディングス(GHD)は国内に錠剤などの固形剤を製造する新工場を建設し、2024年に稼働する。建設地や投資額は明らかにしていないが、21―23年度の中期経営計画の中で生産拡大など設備投資に700億円を充てる。今後10年間で生産能力を20年度比1・3倍の年間200億錠に引き上げる計画。業界再編・集約化を見据え、自社での供給能力を高める。

同じく大手の東和薬品は23年12月、主力の山形工場(山形県上山市)に固形製剤棟や無菌製剤棟などの新棟を建設し完成させる。投資額は213億6000万円。大阪府や岡山県の工場と合わせて23年度には20年度比1・5倍となる、年間175億錠の生産能力を確保する。

生産能力1.2倍

ニプロは子会社の全星薬品工業(大阪市阿倍野区)を通じ後発薬を主に生産する岸和田工場(大阪府岸和田市)に新棟を建設し22年12月に稼働する。約42億円を投じ、臨床試験薬や高活性製剤にも対応した設備を整備するほか、試験設備や自動ラック倉庫を拡充。年間生産能力は現状比1・2倍の30億錠に引き上げる。同社は「後発薬の使用促進や臨床試験薬の受託製造に対応していく」(広報)と説明する。

こうした生産拡大計画はあるが、品質問題を受けた生産停止の影響をすぐに補うことは難しい。日医工は富山第一工場(富山県滑川市)で業務を再開したが、医療関係者向けには供給制限や欠品、長期にわたって製造再開に時間を要すると伝え、代替品への切り替えを促している。

生産停止の余波

余波は各社に及んでいる。サワイGHD傘下の沢井製薬は医療関係者向けに、出荷調整中の製品や、追加で出荷調整となる製品が計385品目にのぼると説明。東和薬品も同様に新規採用や既に採用されている医療機関からの注文量に十分対応できないとしている。

供給量の拡大に向け設備面以外での課題もある。沢井健造沢井製薬社長は「生産を支える人材確保に注力しなければならない」と危機感を示す。短期的な代替需要に応えるだけでなく医薬品製造品質管理基準(GMP)に精通した人材を中長期的視点で育成していくことが欠かせない。

日刊工業新聞2021年7月29日

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