個社の問題ではない!?品質問題でジェネリック医薬品業界が「正念場」

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東和薬品の山形工場

品質問題に揺れるジェネリック医薬品(後発薬)業界が正念場を迎えている。政府が後発薬の国内数量シェア80%を目標に掲げる中、各社は拡大路線を取ってきた。ところが2020年度に健康被害や製品回収など品質問題が顕在化。品質体制の見直しを含めた信頼回復に加え、さらなる安定供給を実現するための生産能力確保が急務だ。(大阪・中野恵美子)

2社が業務停止

3月、本社を置く富山県から32日間の業務停止命令を受けた後発薬大手の日医工。富山第一工場(富山県滑川市)において国が定める基準から外れて製造した製品を自主回収していた。稼働停止の影響で、21年3月期連結業績(国際会計基準)は営業利益が前期比96・3%減の1億円に落ち込んだ。

2月には後発薬中堅の小林化工(福井県あわら市)が福井県から116日の業務停止処分を受けた。同社経営陣らがルール外の製造手順、形だけの品質管理を黙認していた実態が明らかになった。

業界に厳しい声

こうした品質問題に対し、当初業界では個社のコンプライアンス(法令順守)の問題との見方が多かった。日本ジェネリック製薬協会の沢井光郎会長(サワイグループホールディングス〈GHD〉会長)は「医療従事者から『個社の問題と言い切れるのか』と厳しい声を多くいただいた。各社がいま一度原点に立ち返り、品質確保に真摯(しんし)に向き合わなければならない」と語気を強める。協会では第三者監修の点検チェックリスト作成など品質・安全確保に向けた施策を具体化している。

大手2社は生産能力を引き上げ、安定供給を目指す(サワイGHDの三田西工場=同社提供)

代替生産急ぐ

業務停止や製品回収を受け、後発薬大手には代替生産が求められる。ただ「全ての要望には対応できず、供給力強化には人材採用など時間がかかる」(沢井健造サワイGHD副会長)というのが現状だ。吉田逸郎東和薬品社長も「できる限り対応するが、他社の代替ニーズで当初の計画を変えると生産効率が悪くなる」と説明する。

それでも医療費削減の観点から後発薬の安定供給は必須だ。サワイGHDの22年3月期業績予想は代替生産による増加分を織り込み、売上高が前期比5%増の1964億円としている。東和薬品も同様に、売上高を同6・5%増の1650億円と見込む。両社は中長期的に積極的な設備投資を通じ、生産能力を引き上げる。

日刊工業新聞2021年5月18日

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