「インパクト投資」を通じて社会起業家支援に挑む

新しい社会のカタチを作る Z世代の起業家たち #3 UNERI

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UNERI(名古屋市守山区)は、環境や社会に好循環をもたらす事業に投資する「インパクト投資」を通じて社会起業家を支援する。河合将樹社長(26)は「社会課題解決の市場を大きくする」をテーマに、計測困難だが好循環を与える事業が生み出す価値の可視化を手がける。株式上場や買収をゴールとする事業にしかお金が流れない状況を打ち破り、資本主義の歪み是正に挑む構えだ。ビジネスの在り方に一石を投じる、河合社長に聞く。 (永原 尚大)

―「市場を大きくする」と考えたのはなぜですか。
 「起業家育成の私塾にいたときのこと。皆、口では社会課題解決の事業に『応援するよ』と言うが、実際にはお金が流れなかった。それは仕組みの問題だと気付いた。社会的事業にお金が流れる選択肢を作れば投資が入ってくる。給料も高い金額を払えるようになり、優秀な人もやってくるので事業が成長するという良いサイクルが回るようになる」

―選択肢とは。
 「私が注力するのは社会的インパクト投資。社会的・環境的にポジティブなインパクトを与えて、かつ計測できる事業に対して投資する概念だ」

「資金提供側が増えないと何も変わらない。シード(創業期を対象にした)ベンチャーキャピタル(VC)が約320あると言われているが、インパクト投資や社会課題をテーマにするのは1%ぐらい。すると、社会起業家が現れても(事業の)魅力や価値を理解する投資家がほぼいない。最初にリスクを取って資金提供する人がいないと、そもそも生まれない。だから私たちが挑んでいる」

―事業の善し悪しをどのような評価軸で見ますか。
 「明確に2つある。1つ目は測定可能な指標の改善に繋がっているか。『商品を買うとCO2排出量の削減量がいくらか』『貧困家庭の数がどれだけ減ったか』といったもので測定しやすく、インパクト投資の文脈にフィットする。2つ目は既存の世の中の指標の変化を促しているか。社会に良いことは分かるが、指標を作りにくいときに見る。具体的には子どもの幸福度ランキングなどだ」

―社会起業家が増える背景をどう見ますか。
 「もうかるから、という結論が私の中にはある。1月、京都市北区のチョコレート会社Dari Kがロッテに買収された。大企業がESG(環境・社会・企業統治)を整えないといけない点が背景にある。Dari Kはサプライチェーン(供給網)を通じて社会や地球環境に配慮したサービスで、強固な顧客基盤もあるブランドだ。大企業にとって見れば、社会に良いことを新規事業や既存事業の変革で実現できない時にはM&A(合併・買収)するのが手っ取り早い。そう考えると、社会課題に寄っているほどM&Aされやすく、上場もしやすいため経済合理性もある。これは予測ではなく事実だ」

日刊工業新聞2022年3月21日

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