経産省に聞く、4月1日施行「プラスチック資源循環促進法」で何を目指す?

経産省資源循環経済課・羽田由美子課長

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プラスチックの資源循環をライフサイクル全般で促す「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラ法)が4月1日から施行される。近年は海洋プラスチックごみ問題に対する国際的な関心が高まり、日本が世界に先駆けてプラスチックの資源循環を進めていくことが求められている。プラ法の意義やCEへの移行に向けた戦略について、経済産業省 資源循環経済課の羽田由美子課長に話を聞いた。

-製品・用途で規定する既存のリサイクル法と異なり、プラ法はプラスチックという“素材”に焦点を当てています。

「プラ法は製品の設計段階から排出・回収・リサイクルに至るライフサイクルの全般で、プラスチックの資源循環を促すことが目的です。プラスチックは非常に便利な素材で、さまざまな工業製品に使われていますが、不適切に処理され、環境中に流出すると海洋プラスチックごみなど環境汚染の原因になり得ます。国内の廃プラ発生量は822万トン(2020年)で、その多くは発電の際のエネルギー回収などで有効利用されていますが、リサイクルは全体の24%にとどまり、さらなる廃プラの適正処理、3Rの推進が必要となります」

全ての関係者に取り組みが求められる

-海洋プラスチックごみ問題に対して世界中で問題意識が高まり、廃プラに関する議論が活発化しました。

「海や川に流出した廃プラは国境を越えて影響を及ぼす恐れがあり、一国で対処するのは限界があります。従って、国を越えて、CEの考え方に沿ってプラスチックを賢く使用することが求められます。先日開催された国連環境総会(UNEA)では、海洋プラスチックごみ汚染の根絶を目指し、国際約束の制定に向けた議論を始める決議案が採択されました。今後、交渉が開始されますが、政府機関だけでなく民間を含む全ての関係者に、全ライフサイクルにわたって廃プラ排出削減に向けた取り組みが求められるといわれています」

「国内でも問題意識が広がりました。我が国では2019年にプラスチック資源循環戦略を策定し、取り組むべき課題や戦略を整理して野心的なマイルストーンを公表しました。さらに、2020年のレジ袋有料化により、身近なところでの使い捨てプラスチックの過剰な使用を見直す取り組みが始まりました。ただ、廃プラ問題の解決にはライフサイクル全体で対処することが必要であり、環境省とともに審議会でプラ法についての議論を重ねてきました」

それぞれのフェーズで変化が起きる

羽田由美子課長

-プラ法の施行により、企業活動や私たちの身の回りはどう変わるのでしょうか。

「プラ製品のライフサイクルにおいて、『設計・製造(つくる)』『販売・提供(つかう)』『排出・回収・リサイクル』のそれぞれのフェーズで変化が起きると考えています。まず、『つくる』段階では、設計・製造事業者に取り組んでもらいたい事項として、同じプラ製品でも「他の材料で代替可能か」「プラ使用量は削減可能か」「長く使用できるか」などといった製品設計の考え方を「プラスチック使用製品設計指針」として明示しました。また、特に優れた製品設計を国が認定する制度を新設します」

「『つかう』段階では、「ワンウェイ(使い捨て)プラ製品に関して、カトラリーやアメニティーなど12品目の対象製品を定め、事業者に提供の合理化を求めます。小売・サービス業など特定業種のうち、提供量の多寡に関わらず、これら12品目を消費者に無償提供する事業者は、目標設定のほか、提供に関する工夫が求められます。提供方法の工夫として、有料化や、受け取りを断った人へのポイント還元、声かけ等の消費者の意思確認の徹底などの対策を求めるほか、提供する製品の工夫として、再生プラスチックやバイオマスプラスチックの活用など製品面の工夫も促します。これらは事業者だけでなく、私たち『つかう』側も変化を実感することになりますし、協力を求められることになります」

-資源回収を担う自治体などの役割も重要です。

「『排出・回収・リサイクル』段階では、自治体は現在、容器包装リサイクル法で決められたペットボトルやお菓子の袋などのプラ包装などを分別回収していますが、洗面器、収納ボックスなど容器包装以外のプラ製品廃棄物も同時に回収可能にします。家庭から多様なプラ製品廃棄物を資源として一括回収することで、リサイクル促進につなげます。また、メーカーや販売業者も、自主回収・再資源化事業計画を策定・認定を受けることで使用済みプラ製品を自主的に店頭回収しやすくして、幅広いプラ製品が効率的に『回収・リサイクル』される環境を目指します」

-廃プラ規制が進む欧米や中国などと異なり、プラ法は規制を最小限に抑え、自主的な取り組みを期待するものです。事業者や自治体などに対し、どう資源循環の取り組みを促進していきますか。

「企業や自治体などの取り組みに対しては、例えば、国の認定を受けた設計のプラ製品は、グリーン購入法上の配慮を行うほか、消費者が環境に配慮した製品を選択しやすいよう情報発信していきます。プラ製品廃棄物の一括回収に取り組む自治体に対しては、地方交付税などで一部費用を手当する予定です。その他の取り組みに対しても、資源循環に係るコストを軽減するべく補正予算を措置しました。また、資源循環にあたっては連携が鍵となります。既に自治体や民間主体で、各主体が連携したさまざまな取り組みが行われており、経済的・制度的な障壁を減らせるような仕組みづくりを検討しています」

トランジションが必要に

-CEへの移行に向けて、経済・産業界は今後どんなことが求められると思いますか。

「CEの実現には各段階で資源の循環利用を図ることや、モノの売り切りからサービス化への転換などによるモノの有効利用が求められます。日本にはリサイクルの長い歴史がありますが、プラスチック等の資源循環をさらに進めたりCE型ビジネスモデルへの転換は決して容易ではなく、色々な意味でのトランジション(移行)が必要となるでしょう。また、最適化のために異なる主体との連携が必要となるでしょう。2020年に策定した「循環経済ビジョン2020」では、企業がビジネスモデルを転換する必要性や動静脈産業の連携の必要性、それを社会から適正な評価を得ながら進めることの重要性を明記しました」

循環経済の実現イメージ

「さらに、企業は投資家などに取り組みをどう説明すべきか、2021年に気候変動分野での情報開示を求めるもので、日本に多くの賛同企業のあるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言を参考とし、「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」を公表しました。廃棄物対策としてだけでなく、経営戦略として企業の価値観を示し、新しいビジネスモデルや収益化計画などを経営戦略に織り込みつつ説明し、CEに対する理解を得る事が求められます。CEへの移行に向けた取り組みは、幅広いステークホルダーから理解を得ることが不可欠です。引き続き、諸制度がどうあるべきか、ビジネス面の考え方など、さまざまな立場の方と議論していきたいと思います」

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