試乗して分かった、トヨタEV専用車の本当の実力

電池回収・再利用、定額制販売で試行

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トヨタにとって初のEV専用車「bZ4X」。広い車室空間や高い走破性も魅力という

トヨタ自動車が電気自動車(EV)を本格投入する。EV専用車「bZシリーズ」の第1弾となる中型スポーツ多目的車(SUV)「bZ4X」を年央までに発売する予定だ。航続距離や電池容量といった数値的な性能だけでなく、走る楽しみや使い勝手など「乗り続けて心地の良いEV」を目指したという。トヨタが描くEV像とは。記者がプロトタイプに試乗した。(名古屋・政年佐貴恵)

2月下旬、千葉県袖ケ浦市のレース場―。bZ4Xに乗り込みアクセルを踏み込む。「ウィーン」という微かなモーター音と共に、急速かつ滑らかなEVならではの加速感を得られた。走らせて最も印象的だったのが、安定感。床下に電池を積んでいるため重心が低く、ハンドルをジグザグに切ってもふらつくような感覚はない。

安心感ある乗り心地を支えるもう一つの技術が、回生ブレーキだ。アクセルを離すと自動でブレーキをかける機能で、bZ4Xでは時速80キロメートル以下の場合、運転時の減速操作全体のうち約80%をアクセルを踏んだり離したりの操作のみでまかなえるという。試乗会では急角度のカーブをブレーキ操作なしで曲がることができた。

bZ4XはSUBARU(スバル)と共同開発した専用プラットフォーム(車台)を採用した。容量71・4キロワット時の車載電池を搭載し、充電1回当たり500キロメートルの航続距離を実現した。トヨタは広い車室空間や高い走破性もアピールする。

スバルとは新たな4輪駆動技術も共同開発した。記者はEVに対し都会的なイメージを持っていたが、bZ4Xを試乗した際は、ぐんぐんとアクセルを踏みながら山道を走りたくなった。

bZ4Xは海外では地域によって売り切りも想定するが、国内では定額制サービスの「KINTO(キント)」のみで販売する計画だ。bZ4Xの井戸大介チーフエンジニア(CE)は「電池の劣化など顧客の不安解消、電池の回収と再利用、機能更新のやりやすさを考慮した」と明かす。車載電池は車両価格の約3割を占めるといわれ、EVビジネスの採算性悪化の要因となっている。トヨタには、日本の販売方式で電池の回収、再利用の循環システムを試行し、EVの収益モデルを確立したい狙いもある。

井戸CEは「使ううちに『こんな所にも配慮があるのか』と気が付くような、長く使ってもらえる設計思想」がトヨタらしいEVの特徴だと説明する。車各社が相次ぎEVを投入する中、トヨタのEVを市場はどう評価するのか。

日刊工業新聞2022年2月28日

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トヨタ自動車 EV

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