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トヨタ「ノア」「ヴォクシー」が採用した「空調用ダクト」のスゴい性能

トヨタ「ノア」「ヴォクシー」が採用した「空調用ダクト」のスゴい性能

セキソーが開発した自動車の天井用空調ダクト

セキソー(愛知県岡崎市、山田昌也社長)は、材料使用量と重量を従来比で半減した自動車の天井用空調ダクトを製品化した。樹脂素材の発泡倍率を高められる新工法を開発・採用し、断熱性能も2倍に引き上げた。従来必要だった断熱材を削減でき、コストを従来と同程度にしながら性能を高めた。今回確立した技術に既存技術などを組み合わせて、空調ダクト製品の提案力強化を狙う。

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セキソーが製品化したのは車両天井の後部と後部左右に取り付ける空調用ダクトで、トヨタ自動車の新型ミニバン「ノア」「ヴォクシー」に採用された。月産能力は10万個程度。

サイドダクトにはポリエチレン(PE)素材を、後部ダクトにはポリプロピレン(PP)素材を使用。食品トレーなどに使われる発泡技術を自動車用に応用し、元の素材の厚さと発泡後の厚さの比率を示す発泡倍率を4倍に高めた。自動車向けの一般的な発泡技術では、PEの発泡倍率は2―2・5倍、PPは発泡できなかったという。素材中の空気の量を増やすことで軽量化かつ高断熱性を実現し、従来必要だったウレタン製の断熱材を削減できた。

新工法の開発と同時に、端材を再生利用できるリサイクル技術も確立した。一般的に発泡素材は溶かす際の比重が異なるといった要因で成形しにくいが、中の空気を押し出すなどして再利用を可能にし、リサイクル率100%を達成した。

電気自動車(EV)など電動車ではエネルギーの効率利用が航続距離に直結する。熱エネルギー制御などのエネルギーマネジメントが重要になり、軽量化や断熱性能の需要は高まるとみられる。セキソーは新技術の積極採用で、付加価値提案を強化していく方針だ。


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日刊工業新聞2022年2月22日

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