ガラスコーティング剤のパソコン塗布サービス、NECが先駆ける
長引くコロナ禍で、抗ウイルス素材・加工剤の需要が拡大している。樹脂系塗料や光触媒、フィルムなどが使い分けられる中、身近な電子機器において、抗ウイルスの耐久性に加え、耐汚・耐候性などにも優れたガラスコーティング剤が注目されている。ここに目を付け、NECは第三者機関で効果検証済みのガラスコーティング剤のパソコンへの塗布について、提供元のハドラスホールディングス(東京都江東区)と独占契約を締結した。(編集委員・斉藤実)
NECは独占契約に基づき、ビジネス・教育向けパソコンを対象に、新型コロナウイルス(SARS―Cov―2)や大腸菌などを不活化する「Hシールド技術」を搭載したガラスコーティング剤「Dr.ハドラスEX」の塗布サービスを2月下旬に始める。
ガラスコーティング剤の電子機器への採用はスマートフォンでは実績があるが、パソコンへの塗布サービスはNECが先駆ける。専門要員が常駐するキッティングセンターと訪問サービスの双方で今後1年間で10万台への提供を目指す。NECブランド製品以外のパソコンも対象とする。
パソコンはアルコール液などで拭き取り消毒する方法が一般的だが、塗布できる素材に制限があり、頻繁に拭き取ることが必要なため、業務に支障をきたすなどの課題がある。
Dr.ハドラスEXはサブミクロン厚(100マイクロメートル〈マイクロは100万分の1〉以下)の薄膜で素材を被覆するガラスコーティング剤。布などの液剤が染みこむもの以外は、金属や樹脂、ガラスなど、あらゆる素材に塗布できる。「車のワックスがけのように液剤を塗り伸ばしてから、マイクロファイバークロスで拭くことで塗布できる」(小田原玄樹ハドラス研究開発部主幹研究員)。
ガラスコーティング剤は空気中の水分と化学反応し、高純度のガラス被膜を作る。これにガラス被膜に付着したウイルスや菌を不活化させる、ハドラス独自の「Hシールド技術」を加える。これにより菌やウイルス表面のたんぱく質を攻撃して破壊し不活化させる。
コーティング剤は国際標準化機構(ISO)による抗ウイルス・抗菌加工(SIAA)認証を取得。日本繊維製品品質技術センターによる評価試験では塗布後24時間で「SARS―CoV―2」の減少率が99・9%以上になることを確認した。
ハドラスによる試験では、塗布後のガラス膜が5年相当まで残存することを確認済み。比較試験は24時間後で行うが、実際には、ほぼ30分程度で感染力は半減以下となり1時間経過すれば90%以上なくなるという。
加えてA型インフルエンザウイルスの不活化や、大腸菌、黄色ブドウ球菌抗菌への効果もSIAA認証を取得済み。オミクロン株は認証機関の体制が整い次第、依頼する予定。
価格(消費税抜き)はキッティングセンターでの塗布で100台パックが40万円、追加20台パックが8万円など。訪問サービスは地域差がある。塗布サービスは北海道から九州まで網羅する。