8トン電動ショベルで欧州を攻める。日立建機が競争激しい市場でアピールするポイント
低炭素化優遇 投資政策に乗る
日立建機は欧州で販売している8トンクラスの電動ショベル「ZE85」で、2022年に約70台と21年比8割増を目指す。電動化建機の普及に向け、欧州各国がさまざまな投資促進政策を展開しており、これを追い風に展示会などに積極出展し拡販する。電動化の長所であるカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)や静音性に加え、情報通信技術(ICT)対応が進んでいる点もアピールする。
欧州では日立建機以外でも米キャタピラーやコマツ、ボルボ、竹内製作所などが電動ショベルを発売済みで競争が激しくなりそうだ。
ZE85はドイツ子会社が開発したもので20年に25台、21年に約40台を販売した。電動ショベルは環境配慮の長所がある一方で、一般的なエンジン式ショベルより価格が割高なため、日本国内では普及が進んでいない。
欧州ではこのネックを解消するため、ノルウェーがエンジン式との差額の40%を補助する優遇制度を設けたほか、ドイツでは低炭素化に対する投資促進を目的にした資金援助制度がスタート。オランダも電動化建機導入の補助金制度を検討するなど「導入の壁」が低くなりつつある。これを追い風に拡販する。
電動化に加え、自動で作動油の圧力流量設定ができるクイックヒッチ、バケットを人間の手首のようにいろいろな角度に回転できるチルトローテーター、ICT対応など高機能の長所もアピールする。10月にドイツ・ミュンヘンで開催される展示会「bauma2022(国際建設機械見本市)」にも出展する。
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日刊工業新聞2022年1月18日