減速する中国市場で20トンクラス廉価機を投入するコベルコ建機の狙い
コベルコ建機は中国市場向けに、2022年春に低価格の油圧ショベル新商品を投入する。汎用市場の20トンクラスでの投入を予定しており「複数機種の投入を考えている」(尾上善則社長)という。同社は中国での売り上げ比率が2割弱と、コマツなど国内同業他社に比べて高い。中国の建機市場は減速中だが、日本ブランドの強みなどで一定の需要はあるとみて売り込みを図る。中国工場の稼働率向上にもつなげる。
中国の工場は四川省成都市と浙江省杭州市の2カ所で、中国向けの生産は成都工場が中心となる。年間生産能力は1万台以上あるのに対して実生産は半分の5000台、うち1割が輸出向けという。輸出台数を増やしたいところだが「中国製の建機を好まないユーザーが多く、増加は期待薄」(尾上社長)。工場稼働率を高めるためにも、中国市場向けの低価格新機種を投入する。
日本メーカーではコマツや日立建機も中国や東南アジア市場向けに、価格を1―2割抑えた低価格機を投入している。日立建機は6トン、12トン、20トンの油圧ショベルを幅広くそろえ、土木専用に特化して価格引き下げを図っている。コマツはエンジンを6気筒から4気筒にした。
差別化が難しいミニショベルは中国でたたき合いの様相を呈しているが、「20トンショベルではそこまでの動きにはなっていない」(同)として、商機を探る。
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日刊工業新聞2021年12月21日