コマツが先頭、建機「電動化」で加速する世界規模の提携・囲い込み競争

  • 1
  • 6
ホンダの電池パックを搭載した、コマツの電動ショベル試作車「PC01」

建設機械大手で電動化の取り組みが進んでいる。先頭を走るのはコマツ。2020年3月の国内市場向け電動ミニショベルのレンタル販売に続き、21年7月に有線式電動油圧ショベル「PC78USE―11」を国内発売した。環境に優しい長所をアピールし、24時間稼働の産業廃棄物処理工場などへ売り込み中だ。(編集委員・嶋田歩)

電動ショベルはエンジンショベルに比べて、排ガス発生がゼロで騒音や排熱も少ない長所を持つ。ただ、現時点では電池のパワー不足と充電能力のなさ、高い価格などが課題。電源を有線供給することにより、この問題を解決した。バッテリー残量を気にすることなく長時間稼働が行え、電気代も軽油より安いという。工場に設置された太陽光発電やボイラ発電設備の余剰能力を生かすこともでき、燃料補給やエンジンオイル、フィルターの交換も必要ない。

コマツはこれと別に交換式電池パックを活用した電動マイクロショベルで、ホンダと6月に提携した。交換式電池パックを建設現場へ供給すれば、有線式と同様に電動ショベルの充電能力不足の欠点をカバーできる。屋内環境や農畜産、管工事などでの利用を想定する。

コマツの「PC01」は電池パックの付け替えにより、充電性能の短さの克服を目指す

日立建機も6月に、スイス重電大手のABBと鉱山現場向けのフル電動ダンプトラック開発で提携した。こちらも電力供給は架線を利用し、充電能力やパワー不足の問題を解決する。電池搭載量を抑えることで、初期費用節約のほか、荷物積載量を増やせるメリットもある。充電のための停車が不要なため高い稼働率が期待できる。米キャタピラーも豪英系資源大手のBHPと、鉱山現場向けの電動ダンプトラックの開発契約を結んでいる。

コベルコ建機や住友建機も、電動化には関心を示す。電動化は現時点では、電池性能や価格に左右されてしまうのは事実。各社ともこの開発を自前で進めるより、専業大手やベンチャーと組む方が得策と考えている。海外企業や大学も含めた共同開発計画が加速しそうだ。

建機メーカーの電動化にはもう一つの背景がある。BHPグループをはじめ、主要な国際鉱山大手がESG(環境・社会・企業統治)の観点から、そろって電動化や二酸化炭素(CO2)排出削減の取り組みを始めている。鉱山機械は一般の油圧ショベルより大型で単価も高く、注文が得られれば大きな売上高増・利益増が見込める。

コマツは8月、BHPグループや英豪リオ・ティント、チリのコデルコ、スウェーデンのボリデンの世界大手4社と、鉱山操業に伴う温室効果ガス(GHG)削減を目指す連携体「コマツGHGアライアンス」発足で合意した。キャタピラーもBHPグループとゼロエミッション(排出ゼロ)のバッテリー駆動の大型トラック開発で提携するなど、世界規模で提携や囲い込み競争が加速している。

日刊工業新聞2021年12月9日

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる