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日産・出光・東工大が実現、「フォトン・アップコンバージョン」固体で量子効率16%達成の意義

日産・出光・東工大が実現、「フォトン・アップコンバージョン」固体で量子効率16%達成の意義

日産が東工大と共同開発した「固体フォトンアップコンバージョン材料」(東工大提供)

東京工業大学の榎本陸大学院生と村上陽一准教授らは日産自動車と出光興産と共同で、吸収した光より高エネルギー波長の光を出す「フォトン・アップコンバージョン」を固体有機材料で量子効率16%を達成した。空気中で安定に使用できる初の材料という。人工光合成など、光化学反応で利用できる波長を広げることにつながる。

ポルフィリン系の有機分子で緑の光を吸収し、アントラセン系のANNPという有機分子で青い光を発する。この二つを固体として溶かし合い目的の結晶相が得られる条件を探した。5万個のANNP分子の中に1個のポルフィリン系分子が固溶すると高いフォトン・アップコンバージョン性能が得られる。

実験では緑の光子を吸収すると青い光子が得られ、その量子効率は最大16%だった。量子効率の上限は50%。理論上限の3割に達し、必要な光の強度は太陽光の5分の1だった。太陽光を集光せずフォトン・アップコンバージョンができる。光触媒などの高効率化につながる。

日刊工業新聞2022年1月13日

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