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トンネル剥離をレーザーで発見!?驚異の打音システムとは

従来より20倍の速さで処理可能
トンネル剥離をレーザーで発見!?驚異の打音システムとは

レーザー打音で老朽インフラを計測する。現在は装置の小型化が進められている(量子科学技術研究開発機構・フォトンラボ提供)

 フォトンラボ(東京都中央区、木暮繁社長、03・6214・2529)は2020年7月までに、道路や鉄道の老朽化したトンネルの覆工面のうきや剥離箇所をレーザーによる精密計測で発見する「レーザー打音システム」を発売する。インフラの劣化が進む中、人手によるハンマー打音検査に代わる検査として注目されており、インフラ維持管理の手法として今後の主流になるとみられる。製品価格は2億円前後となる見通し。

 レーザー打音システムは、覆工面に振動を励起するレーザーを照射し、その振動を別のレーザーで精密計測することで、覆工面のうきや剥離箇所を発見できる。遠隔・非接触の精密打音が1秒当たり50回でき、従来の人手による打音作業に比べ、約20倍の速度で処理する。

 レーザー打音システム自体の販売とトンネルの計測サービスを展開する。既に稼働する計測検査(北九州市八幡西区)の画像計測システム「MIMM(ミーム)」とレーザー打音を組み合わせた総合計測サービスを提供することで、従来の10倍以上の効率化が見込めるという。建設技術研究所とインフラ計測に関する業務提携を結んでおり、営業面も強化している。

 今後はインフラの新設工事は減少し、維持管理が大きく伸びるとされ、トンネル計測市場は30年に140億円規模と想定されている。フォトンラボは3、4年以内に売上高5億円規模を目指す。トンネル定期点検要領の改訂に伴う市場拡大を見込み、30年に売上高20億円を目標に掲げる。鉄道や道路トンネルのほか、導水路トンネル、橋梁などの用途分野を拡大し、「将来は売上高100億円規模の最先端のインフラ計測メーカーとしたい」(木暮社長)という。

 フォトンラボは、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の社会実装として、17年に理化学研究所(理研)と量子科学技術研究開発機構(QST)の研究者らが設立した、理研ベンチャー・QST認定ベンチャー。埼玉りそな銀行が直接出資している。

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