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充放電を世界で初めて実証。東工大が「カーボン空気二次電池」実用化へ

東京工業大学の亀田恵佑大学院生と伊原学教授らは、再生可能エネルギー大量導入のための次世代大容量蓄電技術として、炭素と酸素の反応を使った「カーボン空気二次電池システム」を開発した。二酸化炭素(CO2)の電気分解により炭素として蓄電し、この炭素と空気中の酸素を使って発電する。同システムでの充放電を世界で初めて実証した。水素を用いる既存システムよりエネルギー密度が高く、高効率化や設備の小型化が見込める。

理論放電効率が100%となるCO2の酸化還元反応を利用した。システムの理論体積エネルギー密度は1リットル当たり1625ワット時で、同379ワット時の圧縮空気やリチウムイオン電池より高い。

CO2は液体で貯蔵し、充電時は気化して使う。CO2を電気分解した後、熱化学平衡を利用して炭素を析出させる。放電時は、この炭素と酸素の反応で電力を得る。この際に生成したCO2を再び液体で貯蔵して充放電サイクルとするため、CO2は排出しない。

固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いた充放電実験で、既存の水素のシステムと同等の充放電効率38%を達成した。

5―10年をめどに実用化を目指す。劣化しにくい電極開発などを進め、パイロットプラントの設計を進める。

日刊工業新聞2021年12月21日

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