【独自調査】コロナで進む働き方改革、中小企業が収束後も続けたいこと
コロナ禍を機に中堅・中小企業でも働き方改革が着実に進んでいる。日刊工業新聞社の調査によると、コロナ禍の収束後も引き続き取り組む施策として調査対象のおよそ8割が「オンライン会議」を挙げた。感染リスクを避けられる上に大きな設備投資も不要という点で導入しやすかったようだ。主な調査対象が製造現場を抱えるモノづくり企業ということもあり、今後は現場の働きやすさや効率化といった課題が俎上(そじょう)に上がりそうだ。
2021年11―12月にかけて行った中堅・中小企業経営者100人を対象に実施したアンケートでは、コロナ禍の収束後も引き続き取り組む施策(複数回答可)としてオンライン会議を挙げた企業は78%にのぼった。「オンライン商談」も56%と、大手企業と遜色ない水準だった。
金融機関や商工会議所などが開く商談会では、ウェブのみでの開催や、ウェブ上と実会場での併催が一般的になりつつある。ウェブ上であれば会場の制約を受けずに参加人数を増やせる利点がある。経済団体同士の交流会などでも、ウェブ上であれば地理的な制約を受けずに関係を深められるため、積極的にウェブを活用する事例が増えてきた。
一方、「在宅勤務(テレワークなどを含む)」は全体の28%と、大手企業の87%に比べて大きく差が付いた。同様に「時差出勤」も21%にとどまった。アンケートの対象が主に中堅・中小の製造業で、工場など現場で働く社員の割合が多いことが背景にある。勤務形態の改革よりも、現場の働きやすさやコミュニケーションの活発化などに改善の矛先が向かう傾向がみられる。
大手企業に比べて人手不足のあおりを受けやすいことも、中堅・中小企業が現場改善に取り組む一因。生産年齢人口の減少に歯止めがかからない以上、女性社員や外国人材が働きやすい環境づくりにも、しっかりと取り組む必要がありそうだ。
3DプリンターやRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)といったITツールを駆使し、製造以外の工程を合理化する必要もある。実際、今回のアンケートでは、22年度の中堅・中小企業の設備投資計画では「合理化・省力化」を目的に挙げる経営者が最も多かった。
また、今回のアンケートでは、中堅・中小企業の42%がコロナショック(世界的に株価が暴落した20年2―3月)前の業績(売上高)に戻ったと回答している。多くの企業は、すでにコロナ後を見据え動きだしている。