「テレワーク定着」「対面営業の縮小」はない。民意はコロナ禍による変化に懐疑的

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コロナは社会・経済を本当に変えるのか―。新型コロナウイルス感染拡大が始まって以降、デジタル変革(DX)や働き方改革の重要性が叫ばれ、コロナ禍を契機に新たな社会・経済のありようを模索する動きが広がった。しかし日本生産性本部が定期的に実施する労働者アンケートからは、そんな機運を懐疑的に捉える兆候が見えるという。

日本生産性本部は、緊急事態宣言が初めて発出された後の2020年5月から「働く人の意識に関する調査」を約3カ月に1回のペースで実施。「都会から地方への移住」「決裁方法のデジタル化」「テレワークの普及」など11項目について、コロナ禍収束後に変化が起こるかとの質問を毎回設定しており、起こりうる度合いを4段階から選択してもらっている。

先月実施した6回目の調査では、全11項目について「起こりうる」「どちらかと言えば起こりうる」の割合がそれぞれ前回の4月調査と比べて減少した。

この結果、両者を合わせた割合、つまり変化の可能性を肯定する割合が5割を超える項目が減少し、「業務の要不要の見直し」と「ウェブ会議の普及」の二つだけとなった。

それ以外の9項目は「どちらかと言えば起こりえない」「起こりえない」を合わせた割合、つまり変化の可能性を否定する割合が5割超となった。

「ワーケーションの普及」「都会から地方への移住」などは1回目の調査から一貫して起こりえないとの見方が多数派だった。今回の調査で「時間管理の柔軟化」「決裁方法のデジタル化」「対面営業の縮小」「教育・研修制度の見直し」は起こりえないとの見方が多数派となった。柿岡明上席研究員は「(コロナ禍による)変化の可能性に懐疑的になっている」と指摘する。

その原因について調査リポートでは、一部業種を除き経済に明るい兆しが見えてきたことや、ワクチン接種が始まったことなどから、「コロナ以前の生活が戻ってくるとの期待が強まっているのではないか」と分析している。ポストコロナに向けて社会・経済を変えるには、政府や企業経営者がこうした民意を汲み取る必要がありそうだ。

日刊工業新聞2021年8月23日

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