【独自調査】“真に力のある”企業ランキング、3回連続トップに輝いたのは?
日刊工業新聞社は主要上場企業を対象とした「第17回企業力ランキング」(経済産業省後援)の結果をまとめた。NTTが総合得点で71・4を獲得し、3回連続で首位に輝いた。製造業では信越化学工業が2位に、東京エレクトロンが3位とそれぞれ前回に比べランクを上げた。また、業種別で化学・医薬品が平均点を40・0と高めており、塩野義製薬が4位に入った。総合得点の平均点は34・9(前回36・3)という結果だった。
この調査は、産業界の模範となる「真に力のある企業」を選ぶことが目的。ランキングは、アンケートに基づく定性評価と直近3期の業績に基づく定量評価(収益性・安定性)を合わせて総合的に評価する。これによって、業績だけでは把握が難しい“真に力のある企業”を選出している。
今回は総合得点の平均が製造業35・4(前回36・3)、非製造業が33・3(同36・3)といずれもポイントを下げた。全業種平均でアンケートは21・7(同20・0)、収益性は8・2(同10・5)、安定性は5・0(同5・8)と新型コロナウイルスの流行による世界的な経済活動低下の影響で収益、安定性とも水準を下げている。2020年はコロナ禍に伴い、コロナ対策に特化した調査をしたため、比較は一昨年実施の第15回とのもの。
20年度の上場各社の業績は、コロナ禍による経済活動の縮小という逆風を受けた結果、前回と今回の両方に回答した企業を見ると約75%が収益性ポイントを下げた。
そうした中、デジタル変革(DX)の活用、テレワークの推進、働き方改革などで収益性を維持、向上させた企業はランクを高めている。
調査は三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都港区)と共同で実施した。アンケート方式で、6月時点の上場企業のうち、金融関連を除く主要1115社を対象とし、回答した238社によるランキング。
「企業力ランキング」(経済産業省後援)は、アンケートによる定性評価と業績に基づく定量評価により総合的に評価し、“真に力のある企業”を選出している。設問は産業界の動きを反映するよう、毎回見直している。今回はコロナ禍を前提にデジタル変革(DX)の推進やテレワークなどに関わる問いを増やした。配点は「はい」と「いいえ」の有意差に応じている。
■得点の計算方法■
【収益性】
●ROE 0%=0点 ~20%=8点 ~30%=10点
(※株主資本比率の変動が大きい場合は1/2または1/4に減点)
●ROA 0%=0点 ~5%=5点 ~10%=7点
●営業利益額 1億円=0点 ~5000億円=8点 ~2兆円以上=15点
●直近5期の売上高伸び率 0%=0点 ~100%以上=2点
●直近3期の労働生産性(売上高/従業員数)伸び率 0%=0点 ~20%=2点
【安定性】
●EV(企業価値) 1億円=0点 ~10兆円=7点 ~40兆円以上=12点
●有利子負債比率 0%=4点 ~50%=0点
●株主資本比率 20%=0点 ~100%=7点
●FC 1億円=0点 ~1兆円=2点
●従業員数 1万人=0点 ~20万人=7点
●直近3期の当期赤字の回数 1回=▼3点 2回=▼7点 3回=▼12点
※いずれも連結ベース。特記しない指標は直近3期平均で配点。変則決算は年換算。上限・下限は超過分を切り捨てて配点。▼は減点。
※ROEは株主資本当期利益率、ROAは総資産当期利益率、EV(企業価値)は時価総額+ネット有利子負債額、FCはフリーキャッシャフロー
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