ソニーグループの好調支える画像処理技術・AI活用、CTOが明かす今後の成長戦略

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勝本徹副社長

ソニーグループの業績が好調だ。2022年3月期連結業績予想(国際会計基準)の営業利益は、半導体事業を含むイメージング&センシング・ソリューション分野(I&SS)の増益などが寄与し、前期比8・9%増の1兆400億円。好調の要因の一つが画像処理技術、人工知能(AI)を活用した製品の開発だ。今後の研究開発の方向性や成長戦略について、勝本徹副社長兼最高技術責任者(CTO)に聞いた。

―各事業領域での技術応用が可能になった背景は。

「エンターテインメントやAIなど、ビジネスの現場で集めた技術の共通部分をとにかく強化して、領域に合わせて自由自在に変えるのが理想だと考えている。個別の領域で技術を持つと個別最適になり規模も小さくなり、競争も厳しくなるからだ。例えば音楽事業などはデジタルやデータセキュリティー技術を蓄積してきた。それを同じデジタルコンテンツの映画やゲーム、金融のセキュリティーシステムに利用して応用先が増えた」

―横断的に技術連携するために重要なことは。

「人をつないでおくことが重要だ。世界中の事業拠点に研究開発オフィスを置いており常時10人ほどの若手エンジニアが在籍する。そこでビジネス上必要なワークフローの理解や課題、競争力の源泉になるものを吸収し、ソニーグループの技術として磨いていく。米ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)への研究開発オフィスの開設準備を始めており、これで世界中の拠点が連携する体制が整う」

―研究開発力の強化戦略として、投資額を増やしていきますか。

「現在の研究開発費は間接費を除いて約450億円。総額は変えずに、優先順位を変えながら予算の枠の中で研究開発をしていく。やりたいことを次々にやっていくと、研究開発費が膨らんでしまうからだ。一方で電気自動車(EV)『VISION―S』のような大型プロジェクトには別立てで予算を組むことで、開発を進める」

―研究者やエンジニアの人材確保をどう進めますか。

「世界中から安定的に人材を確保する体制が必須だ。今後を見据えると日本の理系人材は増えていかないので、国内の人材だけに頼ることはできない。欧米や中国、インドの主要大学から優秀な人材を採用できるよう、R&Dセンターが学生とコミュニケーションを取っている。日本とグローバルの採用比率は半々くらいと多様化している。工学系の人材も重要だが、さまざまな領域で研究をしてくれる理学系の人材も積極的に確保したい」

【記者の目/社員の生み出す価値最大化】
勝本CTOは「ソニーの文化が好きな人を求めている」と話す。ソニーは創業以来、個の自律性と挑戦を尊重。会社と社員が対等な関係を前提に「都度、お互いに選び合い、応え合う」企業文化を大切にしてきた。個性あふれる多様な社員一人ひとりの生み出す価値をどう最大化していくのか。その成果が研究開発体制の強化にも結びつく。(安川結野)

日刊工業新聞2021年12月27日

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