ソニーグループが構築、「コングロマリット・プレミアム型研究開発体制」の全容
ソニーグループは多様な事業が相乗効果を発揮するコングロマリット・プレミアム型の研究開発体制を構築する。米国ニューヨークの音楽事業拠点に研究開発オフィスを開設し、これで映画やゲーム、金融など全世界の主要事業拠点への配備が完了する。総合電機メーカーのコングロマリット経営に対して逆風が強まる中、世界で唯一無二の「ソニー・プレミアム」を追求する。
ソニーGは米ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)に本社研究開発部門のエンジニアを常駐させる。楽曲制作現場などの実態やニーズを肌で感じて次の研究開発に生かすほか、人工知能(AI)や音響、半導体などの技術シーズを紹介して実用化につなげる狙い。
これまで同じ米国の映画とゲーム事業拠点、日本のSME、そしてソニーフィナンシャルグループに研究開発オフィスを設置してきた。ソニーGは4月に「ソニー」から商号を変更。ゲームや映画、音楽など、主力6事業がソニーGの傘下に同列に並ぶ体制となった。独立独歩になりがちなグループ会社との連携を深めるために横串機能としての研究開発部門の役割は大きい。
ソニーグループの勝本徹副社長兼最高技術責任者(CTO)は「ビジネス上必要なワークフローの理解や課題、競争力の源泉になるものを吸収し、ソニーグループの技術として磨いていく」とする。
また、ソニーGは日本のR&Dセンターのほかに、欧州や米国、中国などに研究拠点を構える。現地の企業や大学などと連携しながら研究開発を行う。
20年には新たにインドのベンガルールとムンバイに研究拠点を開設。ITや人工知能(AI)などの人材獲得や、ソニーGが持つエンターテインメントやエレクトロニクス事業との連携を通じて市場の競争力や研究開発力を強化する。
日刊工業新聞2021年12月9日