清水建設が水素エネルギー蓄電の実証で得た成果
清水建設と産業技術総合研究所は、郡山市総合地方卸売市場(福島県郡山市)内で2年間実証運用を進めてきた建物附帯型水素エネルギー蓄電設備の連続運用により、電力由来の二酸化炭素(CO2)排出量を未導入と比べて53%削減したことを確認した。水素吸蔵合金の利用により安全でコンパクトに水素を貯蔵でき、一般の施設でも利用が容易になった。
両者が共同開発した蓄電設備「Hydro Q―BiC」は、太陽光発電の余剰電力を利用して水素を製造・貯蔵し、必要時に抽出して電力に変換するシステム。常温・常圧で水素が吸蔵・放出できる独自の吸蔵合金を利用し水素を貯蔵する。同合金は着火しても燃焼しない非危険物。安全性が高く一般施設でも容易に使用できる。
同システムのCO2削減効果は2019年7月から2年間の連続運用で確認した。電力由来の年間CO2排出量をシステム未導入時の想定値から約53%、太陽光発電だけの導入に比べて約21%削減できることを確認した。離れた場所から持ち込んだ水素の貯蔵・活用技術の実証でも蓄電が可能で、さらなるCO2削減を実現した。
日刊工業新聞2021年12月24日