電子部品世界出荷は停滞へ?プラス幅縮小の背景
電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した日本メーカーによる10月の電子部品世界出荷額は前年同月比9%増の3623億円だった。14カ月連続で前年実績を上回ったが、プラス幅は1ケタにとどまった。2021年では2月に並ぶ低水準。自動車やスマートフォン向けの受注残は積み上がっているものの、好調だったこれまでの反動減の兆しが見られる。一部製品では巣ごもり需要一巡の影響も出始めた。
自動車やスマホなど幅広い機器で使われるコンデンサーは同18%増の1253億円で、9月とほぼ同水準のプラス幅を維持した。一方、同じくスマホに搭載され、内蔵カメラのピントを調節するアクチュエーターは同18%増の312億円。プラス幅は9月の同33%増から大幅に縮小した。
スマホの需要家が半導体不足などを背景に電子部品の在庫を積み増していた動きを見直しているためとみられる。積層セラミックコンデンサー(MLCC)メーカー各社は受注残を抱えており、高価格なMLCCの販売が増えていることもあって10月は落ち込みを免れたが、アクチュエーターでは影響がより顕著に出たもようだ。
ゲームコントローラーのボタンやパソコンのキーボードに使われるスイッチは同13%減の311億円。巣ごもり需要の一巡を反映しているとみられる。
日刊工業新聞2021年12月24日