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アイシン協力で開発。花王が市場投入する「防錆洗浄剤」の実力

アイシン協力で開発。花王が市場投入する「防錆洗浄剤」の実力

(上)防錆洗浄剤で処理した鉄製部品(下)未処理品は錆が発生(小窓内は錆の発生部分を拡大)

花王は高い洗浄力と防錆機能を併せ持つ金属部品用の防錆洗浄剤を2022年1月に市場投入する。組み立て後の洗浄から輸送・保管にいたる工程で錆(さび)による不良を抑え、個別包装を減らし工程コストを約75%減らせる。1社への専売で培った実績を基に市販化する。自動車・建機の部品向けなど、想定する国内の対象市場だけでも約50億円程度とみる。25年までに10―20%のシェア獲得を目指す。

市場投入する「ステイブライト」は独自の界面制御技術を応用し、洗浄と防錆の両成分の配合を工夫した。洗浄成分が汚れを除去するとともに、防錆成分が高撥水(はっすい)性の膜を形成して結露水を寄せ付けないように表面を改質。洗浄1回で効果は約3カ月続く見込み。

洗浄後の工程で防錆油を使えない部品は、錆対策として個別包装や乾燥剤を添えるのが一般的。防錆洗浄剤を使えば手間と資材コストを減らせる。60度Cの洗浄温度を40度―28度Cまで抑えられるため、二酸化炭素排出量は60―90%減らせる。

対象素材は鉄、アルミニウム、アルミ合金など。価格は個別見積もり。既存品に比べ割高だが高機能で総費用は抑えられるという。

同製品はアイシンの要請を受けて開発し、18年から同社1社に供給。アイシンの協力を得て改良を重ねてきた。環境負荷の低減に広く貢献することもあり、アイシンの賛同を得て市販化する。

和歌山工場(和歌山市)で製造。用途に応じて機能を付加し、品ぞろえを増やす。航空機や船舶、製造設備向けなど幅広い用途を期待する。鋼板向け産業用洗浄剤で花王の国内シェアは60―70%。金属部品防錆洗浄剤を精密部品洗浄向けなどに続く柱に育てる。

日刊工業新聞2021年12月15日

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