待ったなしの廃プラ抑制、化粧品・日用品メーカーは「容器」の課題をどう解決するか

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P&Gジャパンはヘアケア商品「パンテーン」にアルミ製ボトルを採用

化粧品・日用品メーカーが容器の環境負荷低減への取り組みを推し進めている。回収に加え、素材自体を再生しやすい樹脂、アルミニウム、ガラスに転換する。飲料に比べ、中身に油分を多く含むことから洗浄が難しい化粧品などの容器の開発は容易ではない。それでも樹脂使用量の削減はESG(環境・社会・企業統治)で重要課題の一つ。詰め替え容器の水平リサイクルを含め、各社は自社だけでなく、自治体などと連携して再生の道を探る。 (縄岡正英)

【素材転換】アルミや再生PET

「サステナブルなアクションを起こすことに意義がある」。アルミニウム製ボトルを採用したヘアケア商品「パンテーン」を23日発売したP&Gジャパンの田中康之執行役員は狙いをこう語る。

本体部分を再利用が可能なアルミに変えることで樹脂の使用量を減らせる。浴室のような湿度が高い環境で長期に使うにはアルミは適している。ただ、実用化は容易ではなかった。中身のシャンプーやリンスの成分の安定性を保つためには加工が必要。ポンプを装着し、詰め替えが可能なボトルを探すのにも「苦労した」という。

花王は再生したポリエチレンテレフタレート(PET)を6月から化粧品「トワニー」の容器に導入。順次採用を広げる。使うのは着色していたり、中身が付着していたりしても再生可能な素材。目指すのは、使用後に回収、分解して再び容器に加工して使う水平リサイクルだ。

容器を繰り返して使う取り組みもある。Loop Japan(横浜市中区)の循環システムに参加する資生堂はLoopサイトで販売するスキンケア「アクアレーベル」専用に耐久性と高級感を兼ね備えたガラス容器を開発した。使い終わった容器は回収・洗浄し、中身を詰め直して販売する。コーセーもLoop用に再利用可能な容器を開発し、「薬用 雪肌精(化粧水)」を2022年夏に発売する計画だ。

【技術革新】多層フィルムが課題

世界的に廃プラ抑制の動きは急を告げ、日本政府はプラスチック資源循環戦略で35年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクルする目標を掲げている。化粧品・日用品メーカーにとって環境負荷低減は急務。とはいえ、単独の努力には限界もある。花王とコーセーが化粧品事業のサステナビリティー(持続可能性)領域で協働するテーマの一つも容器への環境配慮素材の導入。販売で競合しても、持続可能な社会を目指す取り組みでは手を組む。

神戸市は花王、ライオン、アース製薬といった日用品メーカーや流通など16社と連携し、詰め替えパックの水平リサイクルに向けた官民共同の取り組みを9月に始めた。メーカーの技術開発を後押しする狙いで、23年ごろの実用化を目指す。

詰め替え容器の国内普及率は約80%。そもそも環境負荷低減に役立つ容器だが、内容物を温度や湿度から守る多層フィルム構造のため、再生すると不均質になってしまう。そのため再び同容器として使う技術はまだない。

社会で知恵を合わせ、一歩を踏み出す行動が問われている。

日刊工業新聞2021年10月26日

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