歴史的な低水準の倒産件数、今後の増加が懸念される理由
帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が発表した11月の倒産件数は、TDBが前年同月比16・9%減の468件、TSRが同10・4%減の510件だった。ともに6カ月連続減少。11月として、TDBは集計を始めた1964年以降で最少、TSRは65年以来の低水準。政府や金融機関の資金繰り支援策で倒産が抑えられている。2021年通年でも、歴史的な低水準の件数になる見通しだ。
負債総額はTDBが同14・4%減の814億円、TSRが同7・8%減の941億円。
TDBが21年通年を1966年以来の5000件台と予想するなど倒産件数は歴史的な低水準だが、企業の状況は厳しい。TDBは「利息を事業利益でまかなえない倒産予備軍の企業が増えている」と指摘する。TSRは「金融機関は事業性を厳しく評価する」として、運転資金の調達が課題とみる。2社ともに、2022年3月ごろに倒産が増加に転じる可能性を挙げる。
日刊工業新聞2021年12月9日