繊維強化樹脂に欠かせぬ「ハギレ」求む!繊維産業衰退で確保できず

中原化成品工業が呼びかけ

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綿繊維端材を裁断した繊維強化樹脂の基材

中原化成品工業(大阪市平野区、中本勝也社長)は、縫製工場などに綿繊維端材(ハギレ)の提供を呼びかけている。同社が製造する繊維強化樹脂には綿繊維端材が欠かせないが、国内繊維産業の衰退などで量の確保が困難になっている。工業製品原料として端材が使われていることの認知を高め、確保に全力を挙げる。

1949年創業の中原化成品工業は繊維強化樹脂メーカーへの繊維チップ供給を祖業とし、74年にアラスカ石油パイプライン向けの断熱構造部材として繊維強化樹脂を開発したのを機に、熱硬化性樹脂メーカーに転身した。以来、直圧プレス成形に特化し、繊維強化樹脂メーカーとして事業を拡大してきた。

綿繊維端材を基材(フィラー)として利用する繊維強化樹脂は耐衝撃性、寸法安定性に優れた特性を持つ。需要が最も多いのは、マシニングセンター(MC)の工具を収納するツールポットで、同社がほぼ独占的に国内外の工作機械メーカーに供給している。月に約2万5000個のツールポットを製造、必要な繊維端材は月20トンという。

日本の繊維産業が盛んな時代は、繊維端材の入手は容易だった。縫製工場などから端材を回収する業者が多数存在していたからだ。しかし縫製の海外移転が顕著になり、回収業者もいなくなった。さらに最近はコロナ禍による衣料販売不振で、端材の発生が極端に減少している。

同社では端材を求めて衣料メーカー、縫製工場などを直接訪ね、端材の提供を呼びかけている。デニム産地である岡山県倉敷市やタオル産地の愛媛県今治市などを回る。ただ繊維強化樹脂の原料として使用できるのは成形時の高温に耐える綿100%だけで、融点の低い合成繊維が混じると使えないなどの制限がある。綿繊維を裁断して製造する基材に繊維が残っていないと強度が不足するため、裁断すると糸状になりやすいタオルも実は使いにくい。

縫製工場側にとっても端材回収は悪い話ではない。回収されなければ廃棄物として処理費用が発生するが、工業製品原料として有料で回収してもらえるのに加え、環境貢献にもつながる。このため同社は「工業製品に使われることを知ってさえもらえれば、回収には応じてもらえるはず」(中原伸治会長)と希望を持ち、回収先確保に全力を挙げる。


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日刊工業新聞2021年11月26日

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