前期比5割増と家庭用ミシンが好調のJUKI、課題の「工業用」はどうテコ入れする?

内梨晋介社長インタビュー

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JUKI公式動画より

JUKIは新型コロナウイルス感染症の影響や事業環境の変化を受け、2022年12月期までの中期経営計画を策定し直した。見据えるのはニューノーマル(新常態)への対応。主力の工業用ミシンは非アパレル向けの強化などを通じマイナス幅を改善。好調な家庭用ミシンや産業装置事業は一層の成長を目指す21年1月に就任した内梨晋介社長に展望を聞いた。

―中計を見直しました。

「コスト構造と領域拡大を進めるコンセプトは同じだが、前提となる時代は大きく変わった。社内でも生産現場や業務の無駄を見える化し、自動化にも取り組む。事業全体の付加価値を高める」

―20年は新型コロナの影響を受けました。

「20年12月期の売上高は前期の約7割。部門別では工業用ミシンが最も影響を受けた。アパレル産業全体が落ち込んでいることも要因だ。家庭用ミシンは『巣ごもり需要』により好調で前期比約5割伸びた。産業装置の表面実装機(マウンター)関係は大きく動いている。当社はスマートフォンやタブレット端末などではなく、第5世代通信(5G)の基地局やウエアラブル機器向けに強い。今後の成長が期待できる」

―成長戦略は。

「工業用ミシンは自動車のシートや家具、スポーツシューズの分野を伸ばす。自動車も日系や欧米メーカーに提供するほか、中国のローカルメーカーにも販路を広げる。テレワークの浸透でスーツから気軽でくつろいだ感じの日常服にシフトしており、カジュアル向け縫製機器の品ぞろえや機種を増やす。エリア戦略では成長する新興国向けも強化する。当社はハイエンドが得意だが、アッパーミドルの領域も押さえる」

―領域拡大がテーマです。

「ミシン単体を販売するという戦略から、工場のライン全体をカバーする。ラインのデザインから裁断、ポケットなどの部品を付ける工程、縫う工程、検品、箱詰めまで、縫製工場全体のハンドリングに関わる。工場のインフラや空調の相談も寄せられており、これらを手がけることで市場は一気に広がる」

【記者の目/激変する外部環境捉える】

栃木県大田原市の工場ではコロナ禍を受け医療用防護服の縫製を始めた。ミシンを製造していたが、これまで縫うことはしていなかった。「顧客の困りごと」を学ぶ機会と捉え、決められたスペースでのラインの構築方法や顧客への提案力向上につなげる。JUKIのように激変する外部環境をうまく捉え、社内の体制を変革する柔軟さが求められている。(川口拓洋)

日刊工業新聞2020年3月15日

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ミシン

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