NTTグループ再編前進も、KDDIやソフトバンクはけん制の動き

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NTTグループの再編が前進する。総務省は12日、NTT再編を踏まえた公正競争環境の確保策に関する報告書を公表。必要な制度改正も年内に行う見通しを示した。NTTはこれらの動きを受け、再編効果を織り込んだ新たな財務目標を設定する方針。ただ、競合他社はNTTをめぐる規制の実効性向上などで圧力をかけ続ける構えだ。NTTは今後も法令を順守しつつ、再編遅れの影響を最小化できるかが問われる。(編集委員・斎藤弘和)

報告書では「新たにNTTドコモをNTT東西の特定関係事業者に指定する必要がある」とされた。指定されると、役員の兼任が禁じられる。また、通信局舎内に他事業者の設備を置くコロケーションなどの業務について、特定関係事業者よりも他の事業者を不利に扱えなくなる。

従来、NTT東日本およびNTT西日本の特定関係事業者として指定されているのは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)のみ。だがNTTのグループ再編に伴い、競合他社などからNTT東西がドコモを優先的に扱うのではないかとの懸念が出ていた。総務省は、ドコモの特定関係事業者への指定を年内に行う方針だ。

とはいえ、NTTと競合する事業者は、これで納得したわけではない。ソフトバンクは「(NTTによる)ドコモの完全子会社化は、各種行為規制が確実に機能することを前提に妥当と判断されており、規制の実効性の検証が従来よりも一層厳格かつ確実に行われることが必要」と主張。KDDIも「今後、総務省が電気通信市場検証会議でしっかり検証していくものと考えている」とした。

一方、NTTは「今後も引き続き公正競争条件を順守していく」とのコメントを出した。NTTは自社が総務省幹部らを接待していたことで、行政をゆがめたとの疑念を招いた。総務省が設置した第三者委員会でこの疑念は否定されたが、同委員会による検証は3―10月に及んだ。その間、公正競争確保の議論は停滞。ドコモがNTTコムやNTTコムウェア(東京都港区)を子会社化するといったグループ再編が遅れる結果となった。

この遅れがNTTの中長期の経営計画に影響する懸念はあり、再編プロセスや新たな財務目標の内容が焦点となる。また、ソフトバンクは「NTTがさらなる事業統合を計画する場合、内容の詳細や時期を早々に明らかにした上で、公正競争環境への影響分析などが競争事業者も含む形で行われるべきだ」とも訴え、再編の進展をけん制している。総務省がこうした意見を踏まえた上で、今後の競争政策をどう組み立てていくかも注目される。

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