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使用済み紙おむつ持ち帰り、公立保育園「関西圏」で常態化 

「便で体調確認」や「慣習」も保護者負担や感染対策で疑問の声

関西圏の公立保育園で使用済み紙おむつを破棄せず、保護者に持ち帰らせることが常態化していることが、保育園向けの紙おむつの定額制サービス「手ぶら登園」などを行う「BABY JOB株式会社」(大阪市・上野公嗣社長)が首都圏と関西圏の公立保育園を管轄する自治体を対象に行った調査で分かった。

自治体の担当者の多くは、保護者に使用済み紙おむつを持ち帰らせる理由に「便による体調確認」や「これまでの慣習」「予算の都合」などを挙げるが、こうした使用済み紙おむつの持ち帰りに感染症対策から疑問を呈す専門家もいる。

調査は、今年4月から7月の間に首都圏と関西圏の1都2府5県の計361自治体の保育担当者を対象に電話による聞き取り調査を実施。その結果、使用済みおむつ持ち帰り率が最も高いのは京都府の88%で、26自治体のうち23自治体に上った。次いで、大阪府が65%、奈良県の64%が続いた。兵庫は46%で、関西の府県が上位4位までを占めた。関西圏全体では149自治体のうち95自治体(64%)で持ち帰りを行っていた。

一方、関東圏で最も多かったのは神奈川の45%。埼玉が40%、千葉は33%だった。使用済みおむつの持ち帰りが最も低かったのは東京で24%。うち都心の23区で持ち帰りを行っている自治体はゼロだった。

使用済み紙おむつを保護者に持ち帰ってもらっている理由として、神奈川県伊勢原市の担当者は「以前からの流れを汲んで持ち帰りにしている。園での処分も検討したが、予算の都合で見送っていた」と話す。一方、紙おむつを園で処分している東京都新宿区では「持ち帰りは衛生上良くないという意見や、実際におむつを開いても便を見ていないという保護者の意見や要望があったため、園で処分をすることになった経緯がある」と説明している。

感染症対策コンサルタントで、東京都看護協会危機管理室アドバイザーの堀成美さんは、「感染が広がりそうなものは触るタイミングや触る人を減らすことが大切。使用済み紙おむつの交換後は、その場で捨ててすぐに手指をきれいにし家に持ち帰る必要はなく、保育の場を安全で清潔に保つべき」と話している。

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