花王が生産ラインにIoT活用、おむつ1枚ずつの仕上がり把握

作業のマニュアル化で技術伝承にも役立てる

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工場の稼働状況と現場の状況をインターネットでつなぐタブレット端末から確認できる

花王の栃木工場(栃木県市貝町)では、紙おむつの生産ラインにIoT(モノのインターネット)を活用した「生産支援システム」を導入している。機械の稼働状況と現場の作業状況をインターネットにつないでおり、状況をタブレット端末から確認できる。不具合が起きた際の指示も同端末で出す。国内3拠点と中国、台湾に導入済みで、栃木にいながら海外の工場の状況を確認することも可能にした。

「おむつ1枚ずつがどうなっているかを把握できるようにしている」―。河尻浩宣工場長は真剣な表情でこう語る。紙おむつのラインは元来、機械に異常があると止まる仕組みになっている。生産支援システムではさらに、タブレット端末に原因と思われる事柄とその際の行動指示を表示する。どの段階の何枚のおむつを確認するかなど細かい指示を出し、不良品の排出を防ぐ。指示に従えば、機械停止の原因となった不具合も直せる。言葉での指示が難しい部分は動画で見られ、経験の浅い社員でも作業が可能だ。従来はベテラン社員でなければできないことも多かった。

栃木工場では導入前に比べて稼働率が6.6%向上、ロス率30%改善、停止回数42%減、停止時間38%減という結果を出した。

河尻工場長は「2025年までに1台当たりのオペレーターを半分にしたい。さらなる人手不足が見込まれる以上、貴重な人材は有効に活用できれば」と笑顔をみせる。

さらに同社は、機械の保全・修理を遠隔操作する「遠隔作業支援システム」も導入。作業者の頭にカメラを設置し、知見のある従業員が手元の作業を見ながら指示を出す。栃木工場にいながら愛媛や中国の機械を修理することが可能だ。

二つのシステムは効率化に加え、教育にも貢献した。生産支援システムでの作業のマニュアル化は技術伝承に役立った。また遠隔支援は自分で作業をしてみることが経験につながる。紙おむつのマザー工場として、各工場の教育にも目を配っている。(門脇花梨)

日刊工業新聞2020年1月30日

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