海外工場の技術支援にMR、サントリーHDがコロナ禍で導入した活用法

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MRなどのデジタルツールを活用して、世界中の拠点を結び、技術支援する

サントリーホールディングス(HD)が海外拠点への技術支援に複合現実(MR)を活用している。新型コロナウイルスの感染拡大で海外渡航ができない中、デジタルツールを介して拠点同士をつなぎ、リモートで空間を共有。双方向でコミュニケーションしながら、生産設備の拡充などを進めている。今後は、デジタルツールの保有台数を拡充するほか、独自のアプリケーション(応用ソフト)の開発にも着手している。 (高屋優理)

サントリーグループのベトナムの清涼飲料工場では現在、ペットボトルの軽量化に向けたラインの増設に伴い、リモートで日本から技術指導などを行っている。日本とベトナムをデジタルツールでつなぎ、ペットボトルの成形条件を調整したり、ボトルの外観や物性値など品質を確認。定点カメラやチャットアプリなども駆使して、コミュニケーションを図っている。

海外拠点への技術支援を担うサントリーMONOZUKURIエキスパートは、2018年にグローバルでの技術支援体制を構築。19年にシンガポール、20年にロンドンに拠点を開設した。新型コロナウイルスの感染拡大以前は、担当者が日本、シンガポール、ロンドンから各生産拠点に赴き、技術支援していた。

だが、新型コロナの感染拡大により、往来が難しくなったことで、技術支援の方法を模索。足元で進んでいたインドネシアの清涼飲料工場への技術支援では、日本から技術者1人がインドネシアの工場に入り、MRなどを駆使して日本などからリモートで技術支援した。また、新たに導入する設備メーカーとの出荷検査もMRを活用し、リモートで行った。

新型コロナの感染拡大以前は、海外拠点での設備拡充などにおける技術支援に、サントリーグループの技術者や、設備メーカーなどから述べ10人程度が約3回往来して対応していた。だが、インドネシアでの新ライン立ち上げではMRなどの活用により、技術者1人が1回、現地に入るだけで技術支援が完了した。

サントリーHDでは現在、米国やアジアの拠点に合計約30台のMRなどのデジタルツールを保有している。サントリーMONOZUKURIエキスパートの小林俊也グローバル技術部長は「MRなどの機器を保有しているのは、まだ全体の3割程度。保有拠点を増やし、リモートでの技術支援を定着させたい」と話す。

現在は市販の機器を組み合わせて運用しているが、より使い勝手を良くするため、独自のアプリケーション開発に着手した。今後は新工場の建設におけるラインレイアウトを、複数の人数でMR空間を共有して実施することを目指す。

また、容器設計、開発において、MR空間で仮想ボトルを用いて生産ラインをトライアル運用することなども視野に入れている。

日刊工業新聞2021年9月28日

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