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東京五輪の舞台でも活躍!世界に発信された日本の伝統技術


これまでにない困難な状況で開催された東京2020オリンピック・パラリンピック。選手の活躍の裏側で、世界に誇る日本の技術・文化・伝統を活かした様々な技術や品物が大会を盛り上げました。

復活したスイマーを支えた技術

白血病の闘病生活を乗り越えて、競泳に出場した池江璃花子選手や、不調を乗り越え2つの金メダルを獲得した大橋悠依選手。2人が着用したミズノの水着には、ニット・織物加⼯の新潟染⼯(新潟県五泉市)が加工に携わった撥⽔(はっすい)⽣地が使われています。水着の素材は、東レと共同開発。2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪でも、各スポーツメーカーに採用された実績があり、東京2020に向けさらなる品質向上を目指して研究を進めてきました。

新潟染⼯の金塚紀之社長

新たな生地は、元の生地を洗う時に温度を精緻に制御することで伸縮性を持たせ、繊維一本一本に細かく薬剤を塗布して撥水性を持たせたもの。いかに⽔の抵抗を抑えるかが勝敗や記録に関わる競泳は、⽔着の機能も重要な要素の⼀つです。伝統的な技術である「精練」を活かした水着が、日本人選手の活躍を支えました。

日本のものづくりを世界へ

今回のオリンピックで大活躍した卓球日本。熱闘を繰り広げ様々なドラマが生み出された裏側で、この快挙の舞台を作り出した日本の伝統技術があります。丈夫で美しい高級漆器として国の伝統的工芸品に指定されている輪島塗(石川県輪島市)。2019年6月、国内の卓球台製造販売の大手メーカー三英から、輪島市を通して産地組合である輪島漆器商工業協同組合に「東京オリパラの卓球競技で使用する卓球台の一部に輪島塗を使いたい」とオファーがありました。

TOKYO2020仕様の輪島塗デザイン

同組合は、輪島塗のブランド力向上とともに、若手職人の育成にもつなげようと、若手5人を含む職人9人でチームを結成。同年秋から製作を開始しました。輪島塗の特長である金箔が使えないという制約がある中で生み出された輪島塗らしいデザインを持つ卓球台。職人たちの想いが選手たちにも伝わったのではないでしょうか。

職人の想いを込めて一枚ずつ丁寧に

表彰式では、勝者らに授与される金・銀・銅のメダルに注目が集まりがちですが、実は表彰状も渡されます。対象は、メダルが上位3位までに対し、表彰状は1位から8位までの入賞者。今回はオリパラ合わせて17,600枚分の表彰状の用紙に、国の伝統的工芸品に指定されている美濃和紙(岐阜県美濃市)が使われています。薄くても丈夫で、耐久性と均一性のある美濃手すき和紙の表彰状用紙は、美濃手すき和紙協同組合の組合員が一丸となり作り上げたもの。光に当てると見える「TOKYO2020」の透かしも施されています。細部まで思いを込め、職人の手によって一枚ずつ丁寧に漉かれた美濃手すき和紙の表彰状。その美しさは、アスリートだけでなく、広く世界にも認知されたことと思います。

産地の枠を超え生み出された日本の魅力

房州うちわ×石州和紙による五輪仕様のうちわ

国の伝統的工芸品に指定されている石州和紙(島根県)。約1300年の歴史を持ち、なかでも楮紙(こうぞがみ)は、日本一丈夫な和紙といわれるほど強靭で、主に半紙(楮紙)として、生活の様々なところで用いられていました。しかしライフスタイルの変化に伴い、需要が減り、新たな使い方の提案が急務となっており、石州和紙協同組合事業者の中で、同じ伝統的工芸品の産地とコラボレーションができないかを模索。今回、房州うちわに絞り、産地を訪問し、職人たちと試作を繰り返し、東京2020公式ライセンス商品として房州うちわ×石州和紙「うちわ」を商品化。地元産楮100%で一枚一枚手すき職人が紙すきをした石州和紙と地元の竹を使い一本一本手づくりでつくられた房州うちわの融合。それはオリンピックを契機に産地の枠を超え生み出された職人たちの挑戦です。

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