AIが全米オープンテニスの「番狂わせ」を予想する時代へ。米IBMがスポーツ観戦を変革

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高度な統計分析や選手の勢いなどを測定

米IBMは、全米テニス協会(USTA)の技術パートナーとして、12日まで開催中の全米オープン選手権の公式アプリケーション(応用ソフト)やホームページ向けに、人工知能(AI)による勝敗確率や番狂わせの予測などをタイムリーに知らせる新機能を開発し、運用を始めた。全米オープンなどテニスの「グランドスラム(4大大会)」のファン向けに“新しいデジタル体験”を提供し、コロナ禍で進むスポーツ観戦のオンライン化にデジタル変革(DX)をもたらす。

提供するのは選手の勢いを示すランキングや、各選手に関する重要な洞察をまとめたファクトシート(状況報告書)など。いずれもAIを用いて自動処理し、大会中の全254試合の開始前に提供する。例えば、過去の統計データは自然言語生成によって文章に変換し、どの洞察をファンに公開するかの選択の支援が可能。

テニスツアーのランキングは通常、過去53週分のデータを使用して選手の成績を数値化する。今回の新機能では、選手の直近の成績にも焦点を当て、高度な統計分析や選手の勢いを測定し、最も魅力的な対戦なども知らせる。ツアー・ランクで下位の選手が対戦で有利と判断した試合は「番狂わせアラート」として選び出す。

IBMはUSTAと協力し、「全米オープン・ファンタジー・テニス」と呼ぶ、スポーツ観戦を盛り上げる新しい試みも始めた。アプリの利用者であるファン自身が男女のプロ選手4人ずつで構成するファンタジー・チーム(最高チーム)を設定し、大会期間中の2週間に渡ってゲーム感覚でフォローできる。

例えば、選択した選手が試合に勝つと100ポイント、サービス・エースは1本当たり2ポイント、サービス・ブレークを奪うと1ゲーム当たり5ポイントを獲得できる。

IBMは30年間にわたり、全米オープンの公式技術パートナーを担っている。全米オープンのシステムについては、オンプレミス(自社保有)やパブリック(共有)などの多様なクラウドを組み合わせたハイブリッド(混在型)基盤上で動かし、さまざまなデータ・資源やAPI(応用プログラムインターフェース)から情報を抽出している。

モバイル端末向けアプリで分析結果を手軽に閲覧できる

今回の新機能は米レッドハットが提供するコンテナ型のクラウド基盤「オープンシフト」をベースに、パブリック型の「IBMクラウド」上に構築した。IBMによると、「新機能のコード(プログラム)を1回作成すれば、後に多数のUSTA環境にデプロイ(展開・配備)が可能。クラウドの柔軟性によって、毎年短期間のうちにイノベーションを実現できる」という。

全米オープンのホームページ「USOpen.org」にアクセスするか、モバイル端末向けアプリ「US Open app」をダウンロードすれば、今大会で提供する“AI×コンテナ×ハイブリッドクラウド”による新しいテクノロジーを体験できる。

日刊工業新聞2021年9月9日

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