臨機応変に進路を譲り合う。東芝が開発した複数移動ロボの連携システムがスゴイ
東芝は、複数の自律型移動ロボットが直接通信することで衝突回避や協調搬送の可能な連携システムを開発した。人間同士のように臨機応変な進路の譲り合いなどを実現する。コロナ禍で社会の自動化ニーズが急速に高まり、先行する工場や倉庫に加えて、オフィスビルや駅、商業施設内の清掃・警備・搬送業務でロボット導入拡大が期待される。ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)を通じて開発技術の標準化を目指す。
今回開発した連携システムは、従来の運行システムを経由せずに移動ロボット間で使う通信手順(プロトコル)を設定し、ロボット同士で即時の情報交換を実現した。より低遅延な直接通信のために、多段中継で情報を伝送する「無線LANマルチホップ方式」を採用した。
施設内に導入される各種ロボットはメーカーごとに運行システムを構築するのが一般的で、それらを一体制御できずに狭い空間で立ち往生してしまうケースが少なくないという。また、共通の運行システムがあっても、通信の遅延・中断は起こり得るため、ロボット同士で“会話”して円滑に移動するニーズはありそうだ。
東芝は今回の技術開発にあたり、深川江戸資料館(東京都江東区)における芝浦工業大学のロボット連携実験の一つとして、複数ロボットの相互回避の実証を行った。14―17日に開催されている2021年電子情報通信学会ソサイエティ大会で発表するという。
日刊工業新聞2021年9月17日