8K映像で生産地にいるような購入体験、「5G」活用の遠隔コミュニケーションサービスが面白い
TISは第5世代通信(5G)の普及を見据え、消費者が商品の生産地にいるかのような体験をインターネット経由で提供し、商品の宣伝・購入につなげる遠隔コミュニケーションサービスの実証実験を豊洲オフィス(東京都江東区)で始めた。期間は11月まで。今後、5Gの活用で8Kなどの高精細映像を遅延なく送受信し、臨場感を高める。地域企業の魅力を発信するサービスとして展開し、地方創生に貢献する。
実証には鶴乃江酒造など、福島県会津若松市の三つの酒造会社が参加。酒蔵には4Kカメラ、豊洲オフィスには体験者を取り囲むような形の大型3面モニターとカメラ、マイクを設置した。生産者は酒蔵の歴史や製法、味の特徴などをレクチャー。体験者は手元にある日本酒を試飲しながら、お酒に合う料理を質問するなど、双方向の会話を楽しんだ。
今回は大型モニターにWi―Fi(ワイファイ)経由で酒蔵の映像を投映したため、映像の荒さが目立つこともあった。5Gの活用で高解像度での映像視聴を見込む。今後、TISのキャッシュレス決済機能を用い、商品の購入までも完結できるようにする。
今回の実証は5Gを地域限定で使う「ローカル5G」でTISと技術連携する凸版印刷が、東京大学大学院暦本研究室と進める遠隔体験技術「IoA(能力のネットワーク)」の成果の一つ。
TISと凸版印刷は会津若松市のオフィス「AiCT(アイクト)」に入居中。情報通信技術(ICT)を用いて同地域の地方創生を担う立場だ。百貨店を巡る物産展など、地域企業の販売活動の場がコロナ禍で制限される中、「サービスを通じて地方創生を支援する」(TISビジネスイノベーション第一部の水船慎介シニアマネージャー)考え。
日刊工業新聞2021年9月1日