国内最大級の電子書籍ストア「ブックライブ」、売り上げへ4倍への戦略

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「ブックライブ」公式サイトより

AIなど先端技術に投資

電子書籍の配信などを手がけるBookLive(ブックライブ、東京都港区)は、2025年までに売上高を現在の4倍に拡大する。特に需要が高いジャンルである漫画配信を中心に、プロモーションの強化や新規事業で競争力を高める。同社は凸版印刷の子会社。前身のビットウェイは日本初の携帯電話向け電子漫画配信サービスを手がけた。現在は国内最大級の電子書籍ストア「ブックライブ」などの事業を展開しており、売上高は約100億―200億円規模とみられる。(国広伽奈子)

中核のストア事業は競合企業が多いにもかかわらず差別化が難しく、サービスの独自性が課題。ブックライブは、出版社と連携した漫画の先行配信などのプロモーション戦略が効果を挙げており、今後もコンテンツを生かした訴求に力を入れる。

併せて、作家・作品を取り巻く環境のデジタル化に対応した商流の構築や、イラスト・漫画制作の学習動画の海外配信など新たな試みも進める。動画配信については、事業拡大に向けて19年にパルミー(東京都目黒区)を子会社化している。利用者と作品のマッチングを支える人工知能(AI)など、先端技術に対する投資も今後強める方針だ。

全国出版協会・出版科学研究所によると、20年の電子コミック国内市場は前年比約32%増の3420億円と伸長。配信サービスの浸透や、新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要で引き続き需要が見込める一方、同社の淡野正社長は「今後収益力の強いサービスとニッチなサービスの二極化が起こる」と市場再編を見越す。

インタビュー/社長・淡野正氏 会員数増え認知度高まる

―コロナ禍の影響は。

「想定外の事態だがプラスに働いた。最初の緊急事態宣言中や解除後にストアの会員数が一気に増え、認知度も高まった。一方で離脱率はコロナ禍前と同水準で推移している」

―ストア事業はなぜ競合サービスとの差別化が難しいのですか。

「本屋との違いは立地で差別化できないこと。扱う商品・サービスも似てしまうとプロモーション戦略が競争軸になりやすい。オリジナル作品の提供も差別化の手段だが、ブックライブで扱う作品の中ではまだ少ない」

―売上高4倍の達成に向けた手応えは。

「電子書籍市場は成熟し、成長速度が鈍化する。その中でこの設定はかなり挑戦的な目標だ」

日刊工業新聞2021年3月9日

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