紙媒体に業績が左右されないことを明確にする!凸版印刷が進む道

凸版印刷・麿秀晴社長インタビュー

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凸版印刷社長・麿秀晴氏

社会のデジタル化やペーパーレス化への対応は、印刷業界にとって長らく続く大きな課題だ。新型コロナウイルス感染拡大で変化のスピードが加速する中、印刷業界大手は戦略をどのように見直すのか。凸版印刷の麿秀晴社長に聞いた。

―コロナ禍の影響を教えてください。

「売上高にはマイナス影響が大きいが、2020年4―9月期の利益面では特別要因を除くと増益。事業ごとに増減が異なるのも要因だが、品種ミックスの改善や海外事業の拡大、独自のデジタル変革(DX)ビジネスの成長なども実を結んだ」

―成長を見据えた戦略への影響は。

「紙媒体の縮小加速など、コロナ禍での社会変化はDX事業拡大のスイッチを押した。海外はパッケージ印刷の需要が増えた。これらは以前から挙げている、凸版が強化すべき領域だ。需要の変化が一部起きたとはいえ対応すべきニーズの本質は変わっていない」

―中期経営計画を5月に公表予定です。

「業績がもはや紙媒体に左右されないことを明確にしたい。例えば(出版やチラシなどが関わる)情報コミュニケーション事業はDXのビジネスであると方向性を示す。目指すビジネスモデルに沿って、ニーズや市場規模を考えて重点テーマを選択するメリハリの効いた具体案を示す」

「国連の持続可能な開発目標(SDGs)とリンクする事業目標も特徴だ。売り上げの拡大や生産性の向上が、どの目標にどのように貢献するのか具体的に落とし込みたい。例えば印刷溶剤の組成分析など、達成に向けて新たなことを学ぶ契機にもなってほしい」

―投資の方針を教えてください。

「5年後、10年後に向けて今できることには積極的に投資したい。先を見据えると、社内インフラの拡充など内部向けの攻めの投資が足りない。21年度から2年間は投資フェーズ。その後3年間で成果を刈り取る」

―印刷業界の課題は。

「紙媒体とその他製造という印象を払拭(ふっしょく)すべきだ。印刷業界は技術を生かし、業容を変えながら需要の変化に応えていることを連携しながら伝えたい」

記者の目/紙媒体効率化は必須

紙媒体の事業は全体の3―4割程度だが、いまだに「紙媒体が落ち込むと損益が落ちる」という印象を持たれやすいという。新中計の発表は現状を正確に伝える場となりそうだ。とはいえ紙媒体の急速な市場縮小への対応も必須。さらに効率的な事業運営が欠かせない。(国広伽奈子)

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