凸版印刷がDX売上高を5000億円へ!ペーパーレスでも勝算あり
凸版印刷の麿秀晴社長は日刊工業新聞の取材に応じ、デジタル変革(DX)事業の売上高について「2026年3月期に5000億円を目標値にしている」との方針を明らかにした。同事業は、21年3月期の売上高構成比率が2割弱。売上高約3000億円弱の規模とみられる。ペーパーレス化などで印刷事業の苦戦が続く中、コロナ禍で好調なDX事業を成長の柱に位置付ける。
協業やM&A(合併・買収)などを通じて、マーケティングや流通、製造のDX支援サービスを拡充する。人工知能(AI)などのデジタル技術を活用してバックオフィス(事務管理部門)やコンタクトセンター業務を効率化する「デジタル業務委託(BPO)」も加速する。特にBPOは好調に推移。足元では、新型コロナウイルスワクチン関連など行政機関を中心とした需要が発生している。国や地方自治体におけるデジタル化が進む中、行政事務などの領域は需要拡大が見込める。
DX事業の強化に向け社内システムなどの経営基盤も整備。今後5年間で200億円規模のシステム投資を行う。麿社長は「システム開発やデータ付加価値化の強化は必須。(売上高)5000億の器をこなすための“武器作り”を進めなくてはならない」と力を込める。
凸版印刷は、26年3月期にDX事業の営業利益を全体の3割にする計画を掲げている。麿社長は「固めに見た数字を発表した。21年3月期の売上利益構造の中身を見ると、今回の計画を組んだ以上のポテンシャルがある」と述べた。
日刊工業新聞2021年5月24日