【ロボット技術の競技会「WRS」】コロナ禍で認識された家庭用ロボの将来性

サービス競技委員長(玉川大学教授)・岡田浩之氏インタビュー

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フューチャーコンビニエンスストアチャレンジ。ロボットの動きを見つめる参加者(18年のプレ大会)

家庭用ロボ、環境変化対応

―生活支援は人とロボットの協働が求められる分野です。コロナ禍で家庭用ロボが働く環境が変わりました。

「我々は大きな変化のまっただ中にいる。典型的なのはリモートで働き、家に居る時間が延びた。おかげで家庭用ロボに求められるコンセプトは変わった。従来は住人が働きに出て、誰もいない家でロボが働く想定だった。無人でタスクを達成すれば時間がかかっても良かった。現在はテレワークなどで人がいる家で、人と一緒に働くことが求められている。タスクは多少失敗しても住人が助けてくれる。例えば掃除ロボは床に落ちた靴下1枚で動けなくなることがある。従来は検出回避する機能が必要だった。現在は見かねた人が助けてくれる。むしろ一緒にいて不快でない静音性や、人から手助けを引き出すデザインが求められている」

―公正さの観点から「ワールド・ロボット・サミット(WRS)2020」の競技ルールは変更できません。変化に対応できましたか。

「WRSでは散らかった部屋の片付けと物を取ってくるお手伝いを競技化した。完全自律で達成してもらう。ここに変更はない。だが実用化を考えると遠隔操作と自律機能のハイブリッドでシステムが組まれる。ちょっとした手助けはリモートでできた方が便利だからだ。自律機能の完成度が上がるほど手助けの頻度を減らせ製品力につながる。ユーザーはロボットを助けられるが、失敗に寛容になったわけではない」

―競技会として取り組む意義は。

「コロナ禍であらためて家庭用ロボの将来性が認識された。家にいてロボに片付けてもらいたい雑務は山のようにある。同時にニーズが変化した。そのため家庭用ロボに必要な機能は多岐にわたる。この性能評価の標準をWRSの競技化を通して開発している。評価フィールドや評価法をルールとして整えた。雑多な生活空間と言葉でいうのは簡単だが、性能評価に資する標準環境を用意した。競技を重ねることで技術開発と、その評価のレベルアップが図れる。そして競技を見た学生や技術者もぜひ挑戦してほしい。研究とビジネス双方にチャンスがある」(小寺貴之)

*取材はオンラインで実施。写真は2018年8月に撮影したものを使用

日刊工業新聞2021年9月3日

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