「事業のあり方そのものの見直しが必要」と社長が語る近鉄グループ。人の移動に依存しない戦略

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「コロナ禍で当社グループの事業環境は大きく変化した。事業のあり方そのものの見直しが必要だ」。近鉄グループホールディングス(近鉄GHD)の小倉敏秀社長は5月、過去最大の赤字(当期損失601億円)となった2020年度決算の会見で語った。同時に新たな中期経営計画を公表し、21―24年度に経営改革を進め、回復基調に戻すとした。

近鉄グループは鉄道やバスといった運輸から不動産、流通、ホテル・レジャーなど幅広く手がける。グループの企業数は約140社、従業員数は約3万人。15年にホールディングス(HD)体制へ移行し、従来の鉄道会社視点の多角化から「HD会社が鉄道を含む各事業を等距離に見る」(増田充康執行役員)経営へとシフトした。

グループ各社で収益改善を図る「損益分岐点の引き下げ」に取り組む。中核の近畿日本鉄道は2月に早期退職募集へ踏み切り、百貨店やホテル、旅行の各事業も人員調整を進める。3月に近鉄・都ホテルズが運営する24ホテルのうち、8ホテルを米投資ファンドのブラックストーンに売却し運営受託すると発表。ホテル事業は資産所有し直営するものと、運営に特化するものの二軸化経営を進める。

20年度に債務超過へ陥った旅行事業の上場子会社KNT―CTホールディングスは、近鉄GHDなどの資金支援を受けて再建中だ。個人旅行事業は店舗を3分の1以下に減らしネット販売シフトや、強みの法人旅行の拡大などで改革を図る。

人の移動に依存しない事業の強化も課題。不動産事業は特別目的会社(SPC)を使い新規物件の多様化を進める。製造業を買収するなどBツーB(企業間)事業も強化中だ。

「デジタル事業でグループ連携も進める」(増田執行役員)。百貨店など近鉄グループの施設と近鉄沿線の消費者をつなぐ新たなデジタルサービスの基盤構築に着手した。近鉄グループの改革は途上だが、危機感をバネにグループ力を結集できるかがカギとなる。

日刊工業新聞2021年8月30日

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