「血中酸素計」が足りない!コロナで需要高まり20倍増産でも追いつかず
新型コロナウイルス感染拡大による自宅療養患者の急増に伴い、動脈中の酸素飽和度(SpO2)を測定するパルスオキシメーターの供給が追いつかない事態となっている。コニカミノルタ、小池メディカル(東京都江戸川区)、日本精密測器(群馬県渋川市)などは、増産や拡販に対応するものの、前例のない需要急増がいつまで続くか読み切れず、さらなる設備投資や増員には二の足を踏んでいる状況だ。各社とも難しい判断に迫られている。
コニカミノルタは4月から段階的に生産能力を高め、6月からはコロナ禍前の約20倍となる月産数万台を生産している。8月上旬に数万台レベルの注文が自治体からあり、在庫がほとんどない状況となった。9月も引き続き同程度の生産を継続する予定だ。工場では基板実装の工程で24時間体制を取っている。
国内シェア首位の日本精密測器は設備強化や増員をし、本社工場の生産能力を2020年比約1・5倍まで高めた。コロナ禍前の1・5倍程度の注文がある状態だが、マイコンをはじめとする半導体が不足し、汎用品で代替している。製造原価が上昇したが、価格は据え置いた。
オムロンヘルスケア(京都府向日市)、小池メディカルは中国メーカーがOEM(相手先ブランド)供給する。オムロンヘルスケアでは、4月から計画比約2倍の注文が続いている。小池メディカルは8月以降、コロナ禍前に比べて注文が約5倍に急増。1・5―2カ月分程度の在庫を確保してきたが、在庫がほとんどない状況となった。
パルスオキシメーターの確保を進める東京都は約7万台保有し、そのうち既に約4万台を区市町村などに貸し出している。墨田区は約900台を確保。約400台を住民に貸し出しており、今後も確保を続ける予定だ。
厚生労働省によると、自宅療養患者は11日の段階で全国に約7万4000人いるとしている。新規感染者のピークはいまだ見えておらず、今後もパルスオキシメーターの需要が高まることが予想される。
各社とも在庫がなく需要に対応しきれていない状況だが、需要の先行きが読めないことや半導体不足などから、さらなる設備の増強、増員には消極的な姿勢。品薄感は今後も継続しそうだ。