コロナ「飲み薬」開発急ぐ。オンコリスバイオファーマ社長の展望

大流行阻止、初期が重要

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オンコリスバイオファーマが開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬候補化合物「OBP―2011」が、変異株にも効果を発揮する可能性が出てきた。細胞培養系の実験で、英国型やブラジル型などでも同等の効力を示すことを確認した。最速で実用化すべく奮闘する浦田泰生社長に展望を聞いた。

―この化合物を選んだ理由は。

「ウイルスの増殖を抑える化合物群の中から、飲み薬とするのに最適な化合物を選んだ。PCR検査で陽性が出たらすぐに飲める、早期感染段階の人を対象とする薬にしたい。感染者の家族など濃厚接触者に飲んでもらえば家庭内感染の予防も可能。注射剤と違い、通院する必要がないのが大きな強みだ」

―中等症以降の人に対してはどうですか。

「効果を発揮する可能性は十分にある。OBP―2011は、新型コロナウイルスを細胞に感染させて、10時間後に投与しても増殖を抑えることが確認できた。感染直後でなくても、ウイルス増殖を抑制できれば重症化を食い止めることが可能だ。新型コロナに特異的かつ画期的な薬になるだろう」

オンコリスバイオファーマ社長・浦田泰生氏
―レムデシビルとの違いは。

「詳細は判明していないが、増殖を抑えるメカニズムが全く違うとみている。共同研究先の鹿児島大学とともに、解明を急ぐ。レムデシビル以外の競合薬とも差別化できれば」

―いつごろの実用化を見込みますか。

「2023年中には最低でもプルーフオブコンセプト(概念実証)をとり、効果を証明したい。変異株の感染拡大もあり、早急な実用化が求められる。最速で市場投入できるよう開発していく」

―ワクチンの接種が進んでいますが、治療薬の位置付けは。

「ワクチンだけではパンデミック(世界的大流行)の収束は難しい。PCR検査陽性―軽症者対象の治療薬の重要性は高い。マスクを外して普通に生活できるようにするには、治療薬の開発が必要不可欠だ。コロナウイルスは直近20年間の間に3回のパンデミックを起こしている。今後に備え、コロナウイルス全体に効果を発揮する治療薬を作りたい」

記者の目/開発の遅さ打開策に注目

世界的に収束が見えない新型コロナの感染拡大。変異株にも対応する治療薬の早期開発は喫緊の課題だ。ただ緊急が求められる感染症の治療薬開発には、製薬業界全体の課題とされる「開発スピードの遅さ」を打開する大きなヒントがあるだろう。どんな知見蓄積につながるか、注目したい。またコロナ前に実施していた開発との両立も大きな課題。バランス能力も成長へのカギとなりそうだ。(門脇花梨)

日刊工業新聞2021年6月1日

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